日豪経済連携の弾みは豪州の伝説のワイン〝GRANGE グランジ〟から [ワイン]
入口に飾られた〝BIN407〟と〝グランジ〟の3リットルボトル
豪州ペンフォールズの醸造総責任者ピーター・ゲイゴ氏が8年ぶりに来日し、アイコン〝グランジ〟の新ヴィンテージ2010年を含む同社自慢のワインと和食とのユニークなメーカーズランチを行いました。
オーストラリアの代表的ぶどう品種と言えばシラーズです。まずは、以前ゲイゴ氏が来日した折、語っていたシラーズ(シラー)の起源から始めましょう
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テーブル上には番号プレート付のワイングラスが!
ペンフォールズでは「(1)グランジのように複数の畑のぶどうをブレンドするタイプ (2)RWTのように単一畑から造るタイプ (3)テロワール(場所、土壌、文化等)を反映し、そのワインを飲んだらそのエリアが理解できるタイプ、の3つがあります」とゲイゴ氏
ウェルカムドリンクはBIN51、 エデン・ヴァレー リースリング2014
1990年から造られているワイン。冷涼なエリア・ヴァレー産、(2)のタイプになります。ライムや白い花のアロマ、果実味豊かでキレの良い酸が特徴。エレガントさがあり、好みの味です!
続いては#1のヤッターナ シャルドネ2012。〝ヤッターナ〟はアボリジニ語で「少しずつ少しずつ」の意味。忍耐強く前進するペンフォールズの姿勢を象徴する言葉でもあります。グランジと同じ(1)のタイプで、タスマニア(ダーヴェント・ヴァレーとコーラル・ヴァレー)、ヘンティ(ヴィクトリア)、アデレード・ヒルズの産地のCHをブレンド。初ヴィンテージは1995年(1998年リリース)、白桃、グレープフルーツ、ナッツ、口中クリーミー、乳酸のなめらかさ。若干樽香のニュアンス。今飲んでも、何年寝かせて飲んでも美味(2015年~2024年)
#2:カリムナBIN28 シラーズ2012
BIN28は1959年初リリース、その後毎年生産しています。祖父母や両親が代々飲み継いできたワイン。 リリースしてすぐ飲んでもOK、20年~30年後でも楽しめます。
#3:BIN407 カベルネ・ソーヴィニヨン2012
BIN407はカベルネ・ソーヴィニヨン100%で初ヴィンテージは1990年(1993年リリース)、複数の産地からのぶどうをブレンドした(1)のタイプ。ゲイゴ氏いわく「カベルネのお手本ともいえる品種の特徴を明確にもつワイン」、チョコレートやスモーキーさ、黒系果実やナツメ、無花果などのニュアンス
#4:BIN389 カベルネ シラーズ2012
「カベルネとブレンドして一番合うのはシラーズ」とゲイゴ氏。1960年に初めて造られたワイン。グランジに使う樽を使用しています。比率はカベルネ54%、シラーズ46%、〝ベビーグランジ〟の異名あり
#5:セント・アンリ シラーズ2011
ペンフォールズ2011年産赤ワインを代表するワイン、1950年代から造られていました。シラーズ100%、グラスの底が見えない深みのある色、ブラックぺッパー、グリーンオリーヴのニュアンス。和食と合わせた時に包容力があると感じました。
#6:RWT バロッサ・ヴァレー シラーズ2012
フランス以外のワインでノーベル賞のパーティーで供出された名誉なワイン!
RWTはRed Winemaking Trialの頭文字、今ではもうトライアルではなく、グランジの対極を行くワイン。(2)のタイプで産地はバロッサ・ヴァレー
グランジ2001年と2010年について
#7:グランジ2010
#8:グランジ2001
ゲイゴ氏は「オークを感じたいと思ってグランジを飲んだ人はがっかりするでしょう。アルコール分が強いと思って飲んだ人も同様です。また、凝縮したワインと思って飲んだ人もがっかりすると思います。グランジは〝バランスの良さ〟が要のワインで、リリース直後に飲んでもOKですし、半世紀後でも素晴らしい味わいだと思います」とコメント。海外で行ったテイスティングでは1965年までさかのぼったそうですが、欧州のメデイアからは1965年と2010年の評判が良かったとのこと。
2008年ヴィンテージはアドヴォケイトとワイン・スペクテーターの両誌から100点をゲットしているので、「2010年は、その後をしっかりついでいかなければならなかった」とゲイゴ氏
2008年は温かな気候で、3月を思い起こすと、35度以上の日が16日、38度以上の日が12日間あった由。グランジには最適な畑のぶどうを使っているので選果も厳しくチェックしています。
2010年はマギル・エステートでの収穫が2月5日。暑さが到達する1か月前に収穫が終了し、ぶどうの状態も良好。バロッサ・ヴァレーのぶどうは、マギル・エステートで摘んだ後、1週間~1週間半後に摘むのが恒例。古樹で低収量のぶどう、2010年はすべての面で順調だったそうです。
気候に変動については 「ペンフォールズは170年間、このような気候と共存して戦ってきました。南オーストラリアは乾燥地帯であり冬に雨が降ります。暑い年は南の産地のぶどう、寒い年は北のぶどうを選択するということを行い、柔軟性のある選択をしています。グランジはハウススタイルに合わせた造りをしており、同じものは2つとありません。2001年は温かい夏で1920年以来の暑夏と言われていますが、マクラーレン・ヴェールの1月の気温は1915年以来一番暑かった年。2010年は赤い果実のニュアンスがありますが、2001年はリコリスやプルーン」とゲイゴ氏
ペンフォールズのワイン&和食
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先付:丹波栗葛豆腐
酒煎り鮑、栗煎餅、木の芽、軸防風 八丁味噌の上澄み餡
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御椀:皮剥ぎ肝入り京味噌仕立て
つくね芋かるかん、柿色白玉、皮剥葛叩き 鮑茸 芋蕪 紅葉麩 松葉柚子
味噌(八丁味噌、京味噌),とシャルドネは発酵品としての共通項があり、相乗する印象
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造り:近海本鮪 鯛の昆布みせ
花穂 紅蓼 葉防風 山葵 土佐醤油
鮪の脂ののり(わさびを添えて)、昆布のミネラル感がリースリングと上品な相性
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焼物:海老芋子 鰤利休焼き
零余子抹茶揚げ 黒皮茸伽羅煮 はじかみ
利休焼のロースト風味と樽のニュアンス、ブリの脂感をシャルドネと
グランジを除く赤ワイン5アイテムのなかではシラー100%のセント・ヘンリーの余韻の甘さが利休焼きのほんのり甘い要素と相まって
忍耐力で突き進んできたグランジ
8年前の来日時にまとめた伝説的な変身を遂げたグランジです。
このなかで、2001年ヴィンテージが話題になっていることもあり、帰国したゲイゴ氏に「なぜ、2001年ヴィンテージを選んだのですか」との質問メールをしてみました。併せて、2001年のぶどう比率も再確認しました。
これらの質問に対して、ゲイゴ氏は「2001年はバロッサ・ヴァレーのなかの単一区画からのぶどうをブレンドしたもので、このタイプはとても少ないものの一つです。新リリースの2010年ヴィンテージはバロッサ・ヴァレー、クレア・ヴァレー、アデレード・ヒルズ、マクラーレン・ヴェイルとマギル・エステートのぶどうをブレンドしているので、コントラストの点、さらにグランジ・スタイルを示す素晴らしいヴィンテージとして選んでみました」と回答。
ブレンド比率に関して、ゲイゴ氏は「Yes, I can confirm that the 2001 Grange is 99% Shiraz, 1% Cabernet Sauvignon」と書いています。ちなみにシラーズ100%のヴィンテージは1951、1952、1963、1999と2000になります。
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〝グランジ2010〟のぶどう比率はシラーズ96%、カベルネ・ソーヴィニヨン4%。1951年に試験的に造られて以来、毎年生産されています。複数の地区のぶどうをブレンドして造る、同社の哲学を力強く表現しているワイン。アメリカンオークの新樽100%で17か月熟成。飲み頃は2018年~2060年
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煮物:黒毛和牛すきやき煮
白葱 福岡ローマ菊菜 椎茸 焼き豆腐 黒七味の香り
和牛の食感、料理全体とあわせるにはグランジがもう少し熟成していたほうが良いと感じました。黒七味のスパイスも使っていますが、和牛ではなく、オージービーフのほうが合っていたかも
この後は、秋の名残の松茸御飯、滑子と葱の赤出汁、香のもの。
水菓子は雲海特製冷し白玉汁と抹茶のアイスクリームで〆となりました。
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来賓のブルース・ミラー駐日オーストラリア大使(左)、ペンフォールド社の顔ピーター・ゲイゴ醸造総責任者
現在、日本国内のワイン販売数量は3500万ケースありますが、オーストラリアワインの数量は90万ケース、市場シェアは約4%です。オーストラリア国内での品質チェックはとても厳しいので、輸入されているワインは安全で、ぶれがありません。簡単なウチ飲みワインから超高級なワインまで、幅広いタイプのワインを選ぶことができます。その為の潤滑油になるJAEPAが来年発効されます。消費者のワイン購買力をそそる協定なので、ワイン好きさんには注目していただきたいと思っています。
12月4日刊〝ワインのこころ〟にもお立ち寄りくださいませ
http://www.sankei.com/life/news/141204/lif1412040025-n1.html
![[黒ハート]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/136.gif)
7 年間にわたり、十数回の締結交渉を続けてきた日本とオーストラリア。今春、両国間で合意に至ったJAEPAが、いよいよ、2015年からスタートします。この合意のもと、日本に輸入されるオーストラリアワインは現行15%の関税率から、毎年減税され、協定発効から一定期間*を経て、完全撤廃されることになります。
主な対象品目と関税撤廃までの期間は以下の通り
■ぶどう酒(150 L 超、容器入り、バルクワイン) ・・・協定発効後、即時撤廃
■酒精強化ワイン(2L 以下の容器入り)・・・5 年間で撤廃
■スパークリングワイン・・・7年間で撤廃
■ぶどう酒(2L 以下の容器入り) ・・・7 年間で撤廃
■ぶどう酒(2L 超 150L 以下容器入り) ・・・7年間で撤廃
EPAに関しては日智(日本とチリ)間が先輩格です。チリワインは右肩上がりで、素晴らしい成長を遂げています。輸入通関量では第1位のフランスを追い抜く月もあり、来年以降も伸びが期待できます。あとに続く、日本とオーストラリア間のEPA効果にも期待したいと思います。
ペンフォールズに関するお問い合わせは(株)ファインズまで 電話03-6732-8600
URL:http://www.fwines.co.jp/company/
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