シャトー・アンジェリュス2012記念ボトルのお披露目&こだわりのマリアージュ! [ワイン]
会場は愛宕神社境内のレストランT+(ティ・プリュス)
ワインレッドの色は本物のワインを使って
世界遺産の地サン・テミリオンにあるシャトー・アンジェリュスからPR担当マネージャーのボング・グルラ・トラムさんが初来日し、同シャトーにとって記念すべき2012年ヴィンテージのわけあり情報を披露。会場のレストランT+(ティ・プリュス)では、アンジェリュスのユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレ当主と親交篤い田崎真也オーナーの采配によるアンジェリュス3アイテムとスペシャルメニューのプライベート・ディナーを開催。ワインの開栓時間、口中でのワイン温度、マリアージュのポイントについての細かな解説は、今後応用可能な〝新たな発見〟につながりました。
シャトー・アンジェリュスは2012年にサン・テミリオンのプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ“A”に昇格。2012年から着手したシャトーのリニューアルも終了し、2012年は同シャトーがサン・テミリオンに居を構えて230年目の記念年にあたることから、それらをふまえ、2012年ヴィンテージ(VT) は特別仕様のボトルになりました。
(左)お披露目前、ワインはブラウンのシートに覆われて
(右)金のエンボス加工の美しいボトル!
今秋リリース予定、レギュラーサイズ750mlから6000mlアンペリアルサイズまでの5タイプ
画像提供:Chateau Angelus
Left (C) JB Nadeau / Right(C) Furax-Jacques Pere
トレードマークはアンジェリュス(教会の鐘)
ユネスコの世界遺産にも登録されている地域なので、景観がシャトーとうまく共存できるように工事には歴史的建造物のみを修復する集団もかかわったとのことです
シャトー・アンジェリュスとティ・プリュスの料理とのマリアージュ
アミューズ・ブーシェはANGELUSの頭文字から成る7品。
A(mandine)はアーモンド風味のアンチョビのタルト、G(ratin) はエビのグラタン・・・といった具合、ニクイ演出です! アンジェリュス型の茶色い袋はシャトー情報が入ったUSBのアダプターです。こちらも心憎いです!
テーブルセッティング、プレートの緑の葉が涼しげなイメージ
ワイン:ル・カリヨン・ダンジェリュス2011
1987年から生産しているセカンドワインで、総生産量は全体の20%。ブレンド比率はメルロ(ME)50%、カベルネ・フラン(CF) &カベルネ・ソーヴィニヨン(CS) 各25%。赤系果実主体、アタックは柔らか、なめらかなタンニン、天真爛漫な魅力、今飲んで美味しいワイン
料理:長野県産イノシシのリエット。CSやCFのスパイシーさに合わせて、リエットにはスパイスを使用。まだ若いワインなので、その果実感に合わせるため、ブルーベリー風味のフォカッチャを添えて。MEに感じる土っぽさを〝ごぼうの天麩羅〟に合わせ、天麩羅に使わないごぼうはブイヨンにして、それを氷結。そこから氷だけを抜くと濃いエッセンスができるので、そのエッセンスを使って天麩羅に。
相性:ごぼうのアーシーな味わいとごぼうの凝縮したエッセンスが加わった天ぷらと、スパイシーでまるいタンニンのル・カリヨン・ダンジェリュス2011の相性良し、フォカッチャから感じる果実の要素、リエットの脂分をきれいに拭ってくれるワインの果実感
ワイン・シャトー・アンジェリュス2007
ブレンド比率はME62%、CF38%。赤系果実、ロースト香、メントール、繊細でなめらかなタンニン、酸とタンニンのバランス良好、偉大なVT(2000年、2005年、2009年等)と比べると、2007年は飲み頃のワイン
料理:この会の前日が土用の丑の日だったので、うなぎが登場! マトロット・ダンギーヌ(うなぎの赤ワイン煮)のかば焼きスタイルで、うなぎは赤ワインに漬け込んでそのまま煮込み、その汁を砂糖等で調整しタレに。そのタレをうなぎに塗ってかば焼き風にしています。添えてあるお薬味は山椒。「2007年VTには土の香りがあるので、皮が黒く土っぽさがある黒大根を使ってリゾットにしてみました」と田崎氏。
相性:CFのスパイシーさと山椒を添えて食べるうなぎが抜群の相性。黒大根の食感も絶妙でした。今まで山椒にはシラーを合わせて相性をみていましたが、CFと山椒の組み合わせ、再発見!
田崎氏は「ワインは5時に開栓し、2007年VTは6時にデキャンターを。2006年はダブルデキャンターをしています。ワインはともに18度(口中での温度)でサービスしています」と説明
ワイン:シャトー・アンジェリュス2006
グラスの底が見えないほど深みのあるガーネット色、2007年VTと比べると複雑味あり。ブレンド比率はMEが60%以上で残りがCF。スモーキーでトリュフやスパイス、黒系果実の印象。ユべール氏は2006年VTについて「シガーBOXを開けた時の印象」とコメントしている由
料理:メインは岩手の短角牛、サマ-トリュフを使ったカルパッチョ仕立て。「2006年VTからほんのりトリュフの香りが感じられます」と田崎氏。牛肉を低温ローストして冷凍庫で半冷凍、スライスして並べますが、全体を軽く温めて(ぬるい温度)仕上げます。フォンドボーを煮詰めたソースを肉に塗り、その上にトリュフ風味のマヨネーズも塗り、最後に胡椒でアレンジ。参加者の(大阪在住の)岡昌治ソムリエ協会会長には「大阪風に言うと〝お好焼きのような〟感じです」と
相性:味わい深いお好み焼き風カルパッチョ! ワインから感じるトリュフのニュアンスとサマートリュフを口中に含んだ時の渾然一体感が素晴らしい! 2007年のアンジェリュスはトリュフと合わせるより、脂分のある肉とのバランス良し、2011年のセカンドは果実風味が前面に出てくるのでワインのほうが料理より軽い印象に
3アイテムともレーズン入りパン、チーズに寄り添う味わい
料理:デザートは3種のショコラ。1つめはココアにブランデーを加え香りを高めたところにアボカドオイルを加えたホットショコラ。2つめはアイスクリームに黒オリーブを混ぜ込んだショコラ。3つめはブリオッシュとフォアグララが入った四角いショコラ、パウダーのまわりにはガラムマッサラ(インドで使われているミックススパイス)をふりかけて
相性:ショコラは1から3の順で。フォアグラ入りショコラを食べた後、2006年VTを合わせた時の口中でのハーモニーは最高! 赤ワインに含まれるタンニンとショコラのタンニンの相性の良さ、ポリフェノール同士の相性の良さを再確認しました。
私的感想:ワインからつかみとれる香りの要素や味わいを、合わせる料理から共通項として引出したり、プラス要素として加えていく方式に学ぶこと多々あり。3アイテムのなかで2007年VTが一番減っていたのは、今飲んで美味しく、バランスが取れていたことが理由です。2011年より大人びていたので料理に合わせやすかったように感じました。2006年VTにはポテンシャルがありました。まだまだ本領を発揮していないワインですが、重厚感のあるワインには、このメイン料理にように味わいに複雑さを持たせたものや厚みのあるタイプが良く合うと思いました。細部までにこだわった貴重なマリアージュ体験をシェアさせていただき、ありがとうございました!
田崎真也ソムリエとボング・グルラ・トラムPR担当マネージャー
田崎氏とシャトー・アンジェリュスのオーナー、ユベール・ド・ブアール・ド・フォレ当主は1988年、1989年頃からプロモーションを行っているので、二十数年の付き合い。ユベール氏はボルドーのシャトー当主でありながら、ワインメーカーとして、現在60社以上のワイナリーのコンサルタントをしています。ボルドー広しと言えども、このような立場にいるのはユベール氏のみ。また同シャトーの次期を担う8代目は次女のステファニーさんに決まったそうです。230年という長い歴史のなかで、女性当主は過去3人いたそうなので、ステファニーさんにも期待したいです。
21.7 金を施した2012年ヴィンテージの特別仕様ボトルについて記した8月7日刊の[ワインのこころ]を追記しておきます♪
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140807/trd14080712400007-n1.htm
大好きなサン・テミリオンのワイン。是非飲んでみたいです。
by miche (2014-09-01 21:20)