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2014年シャブリ探究のテーマは〝シャブリと和食の相性を究める〟@八芳園『壺中庵』 [ワイン]

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SOPEXA JAPONが運営するシャブリワイン・プレス昼食会の補足です。産経EXのワインのこころに書ききれなかった内容を追記しておきます。
今年のテーマは〝シャブリワインと和食との相性を究める〟、会場は和風のたたずまいが美しい白金・八芳園の『壺中庵』でした。日本画のようなイメージで撮影できた床の間の生花、その青色はあまりに美しく・・・

当日のプレゼンターはシャブリワイン委員会の新会長ルイ・モローさんと六本木『マクシヴァン』の佐藤陽一オーナーソムリエ

シャブリの最新情報
■日本市場における2013年のシャブリワインの実績は金額ベースで第2位、数量ベースで第4位。数量の内訳をみるとプティ・シャブリとシャブリで83.7%、シャブリ・プルミエ・クリュとシャブリ・グラン・クリュで16.3%
■2013年は円/ユーロの為替レートの影響を受け、日本向けの輸出は金額、数量ともに若干減少。金額1480万ユーロ(-11.1%)、数量215万本(-17.2%)
■シャブリ全体の比率は上から順に、シャブリ・グラン・クリュ2%、同プルミエ・クリュ14%、シャブリ66%、プティ・シャブリ18%
■市場の内訳(2013年数量ベース)でEU圏内(仏含む)79%、EU圏外21%
EU圏内:仏31%、英20%、独6%、ベルギー6%、スウェーデン5%、デンマーク3%、オランダ2%、その他6%
EU圏外:日本6%、米4%、カナダ3%、ノルウェー2%、スイス1%、ブラジル1%、香港1%、その他3%

シャブリと和食との相性を究めるために用意された6アイテム
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供出されたワインは全部で6アイテム(左から)
#1:シャブリ・ヴィエイユ・ヴィーニュ2011(ドメーヌ・セルヴァン)
セラン川の左岸に位置し、土壌は泥灰質、粘土石灰岩(キンメリジャン期)
ヴィエイユ・ヴィーニュ由来の柔和な酸、ピュアなミネラル感、バランスの良いワイン

#2:シャブリ・プルミエ・クリュ・ボ-ロワ2011(ラ・シャブリジエンヌ)
#3:シャブリ・プルミエ・クリュ・ヴォー・ド・ヴェイ2011(ドメーヌ・ジャン=マルク・ブロカール)
#2は南東向きで日照を多く受ける畑(キンメリジャン期石灰質土壌)、#3は東向きの畑(石灰岩質の層と海の化石を含む泥灰質粘土層)でミネラル豊か。2つのメゾンは1km程度しか離れていない由。醸造面はほとんど同じ。ステンレスタンクで発酵後、熟成の段階で一部木樽を使用。
シトラス系果実や石清水を連想させる#2のラ・シャブリジエンヌは私好み。佐藤ソムリエの「夏にアペリティフとして出すと、飲んで食べようというスピード感が出る」とのコメント、言い得て妙でした。#3は独特のスタイルのワイン。「香りから受ける複雑な印象、スパイスや木質の樹皮の要素、味わいには香ばしさやロースト香があり、温度の高い料理(汁物)にも合わせられます」と佐藤ソムリエ

#4:シャブリ・プルミエ・クリュ・モン・ド・ミリュー2011(ドメーヌ・ウィリアム・フェーヴル)
南向きの畑でキンメリジャン期粘土石灰質土壌、新樽は使わず、発酵は平均6年以上のフレンチオーク、熟成では60~70%フレンチオーク使用

#5:シャブリ・グラン・クリュ・ヴォーデジール2011(ドメーヌ・ローラン・ラヴァンテュルー)
#6:シャブリ・グラン・クリュ・レ・クロ・デ・ゾスピス2009(ドメーヌ・ルイ・モロー)

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前菜:白アスパラ豆腐蒸し/蒸しウニ、たたきオクラ、ジュレ掛け、
鱧(はも)寿司、茶せん茄子、沢蟹、玉蜀黍(とうもろこし)つみれ揚げ、マスカットの白あえ

この前菜に#1#2#3のアイテムを合わせながら相性をチェック。佐藤ソムリエは「なめらかで、とろっとした味わいが命の白豆腐には#3のワインが料理を盛り上げる」と。さらに「口中で噛む時間が長い料理のあとに飲むワインは、噛む時間にかかった時間と同じくらい余韻の長いワインのほうが合わせやすい」との解説に思わず納得。モロー会長は#3のスモーキーなニュアンスと豆腐の相性に満足なさっていました。

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吸物:鱧葛打 じゅん菜、小メロン、黒胡椒
守備範囲の広さを感じさせる#3に合わせて楽しめました。黒胡椒の隠し味的効果も〇

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造り:季節のお造り三種盛り 土佐醤油、 蓮の葉を使っていますね、素敵!
ウィリアム・フェーブルのフレッシュさとミネラル感が素直な素材の刺身(特に赤身)と良い相性

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焼物:かんぱち酒盗クリーム焼  彩葱、丸十(さつまいも)、酢取茗荷

酒盗(鰹の内臓の発酵物)はチーズ似の味。「焼いたかんぱちの緻密な味わいがワインの石灰分とからみ合い、そこにチーズのような食感の酒盗が乗っている感じ」と佐藤ソムリエ。ミネラル豊かで、重厚感のある味わいのグラン・クリュとの相性良好。モロー会長も「#5や#6のグラン・クリュと良く合いますね」と語っていましたが、シャブリ委員会の会長らしく、「これらの相性はほんの一例であり、シャブリはいかなる料理とも良く合いますよ」とPR、さすがです。

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煮物:なでしこ豚 治部煮、冬瓜、スナップエンドウ

佐藤ソムリエのコメントをそのまま実行。口中でなでしこ豚をしっかり噛んで、6種のシャブリを合わせてみると、それに応えてくれたのは、やはりグラン・クリュ。#6と合わせやすかったです。料理に複雑味やボリューム感がある場合はやはりグラン・クリュクラスが無難

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食事:季節の炊き込みご飯 袱紗味噌 香の物
「炊き込みご飯が冷めても旨味が乗っていればシャブリと合います。海苔でもつければより良いです」と佐藤ソムリエ。私は#2のラ・シャブリジエンヌと合わせて!

シャブリ・グラン・クリュについて
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モロー家が単独所有しているシャブリ・グラン・クリュ・レ・クロ・デ・ゾスピス2009

レ・クロのなかにあるクロ・デ・ゾスピスは熟成が進むとバター、アーモンド、ヘーゼルナッツのニュアンス。総生産量2000本の希少シャブリ。アロマと新鮮さを保つため、ルイ・モローのシャブリはステンレスタンクを使い、ピュアさを大事にしていますが、「グラン・クリュは少しだけ遊んで樽を使っています」とモローさん。#6はすべてステンレスタンクで醸造、熟成は澱と共にステンレスタンクで12か月熟成、全体の40%のワインは木樽(500リットル)熟成

シャブリ・グラン・クリュの特徴
アペラシオンは7つのクリマで構成されており、それぞれの特徴は
・ブランショ/花のようで、滑らかで心地よい
・ブーグロ/丸く、ミネラル感があり、滑らか
・レ・クロ/ミネラルと力強さがあり、偉大な熟成能力を有す
・グルヌイユ/花のようで、果実味豊か、厚みがある
・レ・プルーズ/長く気品があり、桁外れの熟成能力あり
・ヴァルミュール/ミネラル感、果実味豊か、バランスが良い
・ヴォーデジール/生き生き、かつ、花のようで丸みがある

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水菓子:果物と甘味

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モロー会長の〝ヴァン・ブルギニヨン〟、ブルゴ―ニュのルーツなのでしょう、嬉しそうですよね

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プレスメンバーとモロー会長と佐藤ソムリエを囲んでの記念画像
改めて見回すと、あらら~今回は女子会のような印象(笑)

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藤の間からの景観、雨に濡れた緑がより一層輝いていました。
日本の美、素晴らしいです!

モロー会長との質疑応答から
ミネラルとは
シャブリの畑には様々な石が転がっています。地中の石灰分が土壌の表面に現れているので、雨が降った翌朝、それらの石の臭いをかぐと、ミネラルを感じます。石を口中に含めばより理解できます。海辺を散歩していると新鮮な塩のニュアンスを感じると思いますが、その感じがミネラルで、カキと良く合います。

ステンレスタンク、木樽、MLFを行うor行わないによる特徴
ステンレスタンク・・・アロマがより強く表現される、料理は新鮮な魚料理、例えば生ガキ
木樽・・・オイリーなニュアンス、ワインに厚みが出てくる、グリルした料理や焼き魚
グラン・クリュ・・・白身の肉(チキン)、ソースをかけた魚料理に合う
シャブリ&シャブリ・ヴィラージュ(多くがステンレスタンクを使用)・・・白アスパラガス、リゾット、コンテチーズ
MLFをしているシャブリの場合、自然の酸味を大事にしているので、ソースとの相性が大事。バター等を使ったより複雑な料理が合う。ヴィエイユ・ヴィーニュは酸味が少ないのでバランスを重視する意味でMLFをする必要はない

プレゼンターによる総括
モロー:いろいろな種類の料理を味わうことができました。すべてのワインがグラスに注がれていて、参加者が自分の舌でワインと料理の相性を試すことができたのが良かったです。ワインには味の多様性、複雑性があり、最終的にはピュアな食材とピュアなワインがよく合っていたと思います。

佐藤:料理の素材も多く、味付けも異なり、果実や甘味も出てきてどうなるかなぁと思ったのですが、味わい、香り(強弱)を合わせることでシャブリの可能性を感じたテイスティングになりました。リュー・ディやクリマを理解したうえでワインの温度やグラスの形状に変化を持たせたり、異なるシャブリを2アイテム出したりする工夫も大事だと思います。

昨年は目黒・八雲茶寮で和食とシャブリの相性を試しました。シャブリ委員会の公式サイトも充実しているので、大いにご活用ください。


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