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『香港インターナショナルワイン&スピリッツフェア2013』リポート第1弾は日本酒から [香港インターナショナルワイン&スピリッツフェア]

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香港インターナショナルワイン&スピリッツフェア2013が11月7日から9日の3日間、香港コンベンション&エキシビジョン・センターで開催されました。メインのディスプレイをよく見ると、ボトルとシャンパングラスとワイングラスになっていますね、オシャレ!

香港貿易発展局(以後HKTDC)からお声掛けいただき、昨年初めて取材に出掛けました。会場が広く、セミナー等の参加でも多少戸惑うことがあったのですが、2回目の今回は万事順調。
また、今年は渡航前にHKTDCとの打ち合わせがあり、いくつかの要望が出たので、より気合が入りました。

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HKTDCからの課題の1つが日本酒、Non Solo Vino ( ワインだけじゃない) な取材でした。

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日本からは日本貿易振興機構(以後JETRO)、 新潟県酒造組合、鹿児島県政府の3グループが参加、全部で98の展示ブースがありました。

JETROと日本酒造組合中央会主催の日本酒講座
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初日、17時からの『日本酒講座』に参加してみました。進行役は香港JETROの彦坂久美子さん、第1部は独立行政法人 酒類総合研究所の橋口知一博士。Introduction to Japanese Sake/日本酒の紹介(日本酒とは何か、日本酒の作り方、タイプ等)を日本語(通訳は広東語)で。第2部は香港在住で“酒さむらい”をお持ちの、スーパー才女 百瀬あゆちさん(中央)による How to enjoy sake:Serving Temperature and Serving Vessels/日本酒の楽しみ方(器や温度の違い等)を英語(通訳は広東語)で。聴講者は香港のバイヤーや小売、レストラン関係、欧米やアジア圏からのバイヤーもいました。

橋口講師の内容の一部を書き連ねてみると・・・
■日本では現在47の都道府県で酒造りが行われており、酒ブルワリー数は1300、多くの蔵元は200年以上の歴史を有し、最古の蔵元は870年の歴史がある。■清酒は基本的に米と水から造られ、旨味(アミノ酸由来)成分が多く、酸味や苦みは少ない。■原料がでんぷんなので、酵母は直接でんぷんを食べることができない。ゆえに、そのでんぷんを分解するために麹(こうじ)を使う。この麹を使って糖化をし、かつ発酵が1つのタンクで同時に起こるのが清酒の特徴(平行複発酵)。これにより清酒は蒸留をしていなくてもアルコ―ル度数が20%くらいになる。麹はタンパク質をアミノ酸に分解するが、これが日本酒の旨味になっているetc

私的感想
ワインはぶどう果汁に含まれている糖分が酵母の働きでアルコール発酵が起きます。とてもシンプルなのですが、日本酒の製法はもっと複雑。また、ワインは冷蔵庫温度から常温20度程度ですが、日本酒は0度から55度、場合によってはマイナス5度~10度くらいでも良いとか、温度帯の幅広さは大きな魅力です。

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精米具合(米粒がどれだけ磨かれたものかを示す値)で、60%というのは、例えば100kgの米粒を60kgになるまで磨いたことを意味し、吟醸酒とラベルに書くためには精米を60%以下にする必要がある由

酒米は食用米より少し大きく、中心部分に心白Shinpakuと呼ばれる不透明な部分があり、この部分が麹造りに良いとされているとのこと。最も有名な酒米は山田錦で、2013年現在100種の酒米が栽培されているそうです。

百瀬講師による日本酒レッスン
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出典:JETRO
日本酒のタイプ別4分類 
■薫酒/アロマティックタイプ   8~15度
■爽酒/ライト&クリーンタイプ 5~10度
■熟酒/リッチタイプ(温めても冷やしてもOK) 15~18度  44~50度
■醇酒/ヴィンテージタイプ 15~25度

特定名称酒表による2分類
■純米ファミリー(醸造アルコール無添加)は、
上から順(品質・価格)に、純米大吟醸、純米吟醸、特別純米、純米
■本醸造ファミリー(醸造アルコール添加)は、
上から順に、大吟醸、吟醸、特別本醸造、本醸造
覚えることが多すぎます~

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左の2つは白ワイングラスとフルートグラスを使って、香りや味わいの違いをチェック
清酒は長野県の大吟醸タイプ『夢殿』
右の2つは埼玉県の純米タイプ『文楽』で、温度の違い(10度、40度)による比較試飲

私的感想
ワイン界ではグラス違いの比較試飲をよく行います。日本酒はワインより、酸味が穏やかなので、リーデルが出している大吟醸グラスのような白ワイングラスのほうが(今回の場合は左のグラス)、香りも旨さも引き立つような気がしました。シャンパングラスだと、口中で甘味 → 酸味の順に広がるので、酸味がそれほど強くない清酒の場合、全体のバランスが少しずれてしまうので、もったいない気がしました。

新潟の29蔵が一堂に会して
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2日目、8日の夜は『View62』で、『新潟ミニ 蔵の陣』がありました。
会場は画像のビルの62階で、ゆっくりと回転する贅沢なフロア、香港が一望できます。

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新潟県は93の蔵元中、29蔵が香港に出店、この日はプレミアムな清酒をPR
齊藤新潟県酒造組合長(左)の案内で周香港貿易発展局副総裁(中央)と石井主席領事もご臨席

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29蔵のNo18は『久保田』、朝日酒造営業部の遠藤好一次長(左)と三条正道さんが丁寧に解説してくださいました。

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左から
『久保田 萬寿(まんじゅ) 純米大吟醸』 
久保田のフラッグシップ、エレガントな香り&バランスの良さ
『同 碧寿(へきじゅ) 山廃大吟醸』 第一香は控えめ、口中に広がる旨味と重厚感
『同 千寿(せんじゅ) 吟醸』 クリーンで凛とした印象、ドライで食中酒として最適

山廃について「清酒入門者にもわかりやすい説明を」ということで、帰国後、橋口先生に質問してみました。
■山卸廃止(山廃)とは?
大昔は、山卸しを行う「生(き)もと」だったのですが、山卸しは寒い夜中に数時間ごとに起きて行う作業だったので、それを簡略化するために、それを廃止した山廃もとが普及しました。
■山廃は自然に発生した乳酸菌を生育させ作られる清酒?
昔は、木の容器や櫂棒を使っていましたので、それらに住んでいる乳酸菌が増殖したようです。現在も、蔵内にいる乳酸菌の働きで、山廃もとはできています。
ということですが〝百聞は一見に如かず〟をしないといけませんね。
 

日本酒の輸出額は第2位が香港!
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現在日本酒の輸出額は、第1位はアメリカで、香港は第2位に位置しています。日本酒の魅力拡大に力を入れている香港JETROのダンディな小野村拓志所長にもお話を伺うことができました。
「去年JETROは香港インターナショナルワイン&スピリッツに初参加しました。日本酒15蔵だけでしたが、3000万円の売り上げが出たことで、蔵元さんたちもお酒のハブとしての香港、展示会の位置付けを実感したようです。そのような経過があり、今年は昨年の約3倍、46の蔵元が参加、内訳は日本酒30蔵、焼酎・泡盛の16蔵です。ロンドンで開催されたインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のSAKE部門で最優秀賞を受賞した福岡県の『喜多屋』さんも初参加しています。

日本酒セミナーでは、昨年は初歩的な製造工程をお話ししましたが、今年はもう一段ステップアップして、温度や器の形状で味わいが違うことを皆さんに体験していただきました。展示会場には日本酒のライフスタイル、日本の国酒文化知っていただくために、器も一緒に並べています。自分の好みの味わいが楽しめる器と共にお酒を飲んでもらうことを紹介しています。香港も中国もお米を主食にしていますので、アジアの料理には旨味成分を引き出す日本酒が合うと思っています」とコメント。

来年の抱負として、「今年は46蔵の参加ですが、日本は47の都道府県全てで日本酒を作っています。来年は日本酒、焼酎、泡盛と日本の酒のバラエティの豊かさをアピールしていきたいです」と語っていました。
より多くの蔵元の参集を期待しましょう!

展示会内の日本酒道具展
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小野村所長のお話にあった器、展示会場に設けられたブースで

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富山県にあるAMANO JapanのRaden Glass、桜の花びらが描かれています、美しい

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白くてぽっちゃりした器は愛知県瀬戸にあるCERAMIC Japan

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KIMOTO Glasswareの江戸切子、手作りによる趣き、ありますね

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9日の最終日、福岡県八女市にある『喜多屋』のブースで、下無敷勉セールス・マネージャーに挨拶。世界のワイン品評会で、最も権威があるインターナショナル・ワイン・チャレンジ(以後IWC/本拠地:ロンドン)のSAKE部門で、今年の最優秀賞をゲットしたのが『 大吟醸 極醸 喜多屋』です。IWCは1984年からスタートしていますが、日本酒部門は2007年に新設されています。

喜多屋にとっての一番の海外市場はアメリカで、1990年初頭から輸出しています。量的には年間、1か月半ペースで720ml×12本入りを800~900ケース輸出。4年くらい前から香港への輸出も開始していますが、まだ小規模だそうです。今回の展示ではロンドン、豪州、台湾、香港等からの引き合いが多かった由。

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コンクールでの余波で、ただいま製品が品切れ中とか。試飲した喜多屋はバランスが良く、エレガントな味わいでした。下無敷マネージャーのおすすめの温度は10度、「7度8度から飲んで10度くらいまでがベスト」と。何と合せるかについては、魚、刺身、お寿司、シードフード全般OKで、特に福岡県産の明太子との相性が良いそうです。

香港から戻ってすぐの報告第1弾は産経EXワインのこころで、香港インターナショナルW&Sフェアでの日本酒人気について書きました。

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展示会開始前日の夜、香港の街中を視察してみました。
香港のアイコンビルIFC(International Finance Centre)のなかにある高級スーパーがcity' superです。1996年にできたスーパーで、現在は西武とのつながりはないようですが、創業者は香港西武の方とのこと。生鮮食品はじめ、加工食品等、日本からのものが多く、一瞬、日本にいるような錯覚も。

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酒類コーナーには新潟県が誇る『久保田』や『八海山』がゴールデンゾーンに並んでいました、かなり目立ちました。香港における日本酒人気は楽しみです。

次回のブログは、HKTDCから出ていた課題の2つ目、香港における食文化の一端をお伝えします。農水省が農林水産物・食品の輸出促進に向けて提唱している3本柱のひとつが"Made from Japan"
これはフレンチやイタリアン、中華など、世界の料理界における日本食材の活用推進ですが、今回は香港で展開されている日本食材の探求をしてみました。現地で頑張っている日本企業のエリート駐在員に密着して、様子を伺ってきました。

香港大学が2011年に行った香港人の好感度調査を見ると、第1位日本人(60%)、第2位シンガポ-ル人(58%)、第3位台湾人(48%)という結果になっています。日本人は前年より25ポイントアップしているのですが、これは大震災における日本人の秩序、理性、団結を評価して下さった由、すごく嬉しい結果です。



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まろまろまね

香港でも日本酒は飲まれているのでしょうか。日本酒のグラス比較なんて日本でものかなかやらない気がします。私も日本酒はワイングラスで飲んでます!
by まろまろまね (2013-11-18 06:39) 

fumiko

まろまろまねさん、ナイス&コメント、ありがとうございます!
香港で飲まれていますし、香港は米国に続き、輸出額は第2位の国です。この展示会にも多くの国からバイヤーさんが来ていました。
世界のトップソムリエも日本酒について学習していますよね。
by fumiko (2013-11-24 13:01) 

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