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泡ものだけでないValdiviesoと優れた泡ものも造るCasa Silva [チリ・アルゼンチン報告]

リマリ・ヴァレーからクリコ・ヴァレーまでIMG_9269.jpg
出典:prochile

チリは南北4300km、東西の幅が177kmという縦長の国。北にはアタカマ砂漠、南には南氷洋、東にはアンデス山脈、西には太平洋があります。9月2日から13日迄の12日間の行動範囲は、チリでは最北がLimari リマリ・ヴァレー、最南はCuricoクリコ・ヴァレーでした。赤色が首都サンチャゴ、産地については上記の地図を参考にしていただけると嬉しいです。

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太平洋に近いリマリ・ヴァレーは今人気のワイン産地なのですが、周囲にはサボテンが群生していました。自然のままのサボテンの花を見たのは初めてです。ここからさらに北上すればアタカマ砂漠になります。

初日はバルディビエソのスティルワイン&スパークリングワイン
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Brandaboutのステファンさんの運転で、クリコ・ヴァレーにある『Valdiviesoバルディビエソ』に。道路は内陸部の暖気の上昇に伴い、太平洋の冷たい空気が引き寄せられて発生した朝霧に包まれていました。

味わい&品質面でおすすめのエクストラ・ブリュット
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今回の取材では泡ものチェックが1つの柱だったので、初日から伝統あるスパークリング生産者の泡ものと出会えて光栄でした。同ワイナリーは1879年創業、南アメリカで最初にスパークリングを造っています。画像の4アイテムはすべて輸入元モトックスが扱っていますが、最右の『ブラン・ド・ブラン(シャルドネ100%)』と右から2本目の『エクストラ・ブリュット(シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%)』はシャンパンと同じ瓶内二次発酵。特にエクストラ・ブリュットの口中での泡の溶けかたはとてもきれいで、食事との守備範囲も広いアイテム、日本での小売価格1500円(税別)は最大の魅力です。

哲学は“旧世界のエレガンスとフィネスを備えた新世界ワイン”
輸出相手国は60カ国以上、1位英国、2位オランダに続き、第3位は日本。「スパークリングワインのブリュットやエクストラ・ブリュットが人気で、日本人はワインの品質を十分に理解している」とベンジャミン輸出マネージャー。ちなみに4位以下はドイツ、ベネズエラ、中国、ブラジル、フィンランド、韓国と続きます。

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白ぶどうはソーヴィニヨン・ブランSB、シャルドネCH、セミヨン、黒ぶどうはカベルネ・ソーヴィニヨンCS、カベルネ・フランCF、メルローME、ピノ・ノワールPN、カリニャン、ムールヴェードル、シラー、マルベック、そしてカルメネール等を栽培しており、5年ほど前からローヌ系品種ルーサンヌ、マルサンウ、ヴィオニエも手掛けててるようです。使用樽についてはブルゴーニュのトヌリエはフランソワ・フレールを中心にした6~8社、ボルドーはタランソーを含む4~5社とのことでした。

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試飲したワインは先の泡ものを含む16種類
同ワイナリーの個性が際立つワインと言えば、画像右から2本目の『Caballo Loco#14 / カバンリョ・ロコ』になります。これはボルドー品種のCS、カルメネール、マルベック、ME、CFの5品種をブレンドしたタイプで、ソレラシステム。1990年代初めから造り始めたもので、異なる収穫年、異なる品種、異なる地域のワインをブレンドして、ワインの無限のエネルギーを表現している由。ワイン造りから言えば正当ではないので、このワインの別名は『クレージーホース』、叫んでいるかのような馬のラベルが印象的です。

Loco#1が初登場したのが1995年。現行の5品種のスタイルになったのがLoco#8 (#7のワイン50%+2003年ヴィンテージ50% ) からで、このように前年までのワインをすべてブレンドしたものと最新ヴィンテージをそれぞれ50%ずつ加えたソレラシステムになっています。Caballo Locoはモトックス扱いで4400円(税別)、ちなみに最新のLoco#14は、2009年産50%+#13が50%の比率です。チリの他のワイナリーでは生産していない独自のワインスタイル、バルディビエソならではの個性が光っています。

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左からアジア・欧州担当輸出マネージャーのベンジャミン・フォラステさん、エノロゴのポンスさん(手にしているワインがカバンリョ・ロコ)、シニアワインメーカーのハロルド・ピンターさん。ハロルドさんは訪問後即あいさつメールをくださった気配り名人です。

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クイックランチなので手軽に食べられるスタイルでした

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クリコ・ヴァレーのセミヨン100%から造られる『エクラ ボトリティスセミヨン2011』は残糖100g/Lのスイートワイン。秋の朝霧でぶどうに貴腐菌(ボトリティス)がついて甘露なワインになりました。ピーチやアプリコット、白い花のイメージ、酸もきれい。日本未入荷なのが残念!

実は試飲したワインのなかで一番気になったのは、画像左から4本目の『シングルヴィンヤードマルベック2010』でした。まず、「マルベックはアルゼンチン」との思いに疑問が生じました。バルディビエソのマルベックを試飲して、「チリのマルベック、いいじゃない」との思いを強くしました。果実味だけでなく、スパイシーさもあり、非常に興味惹かれたのです。このマルベックにはミント風味、黒胡椒、土っぽいニュアンスがあり、思わず、「うなぎのかば焼きに合いますよ」と言ってしまったほどです。この初マルベック体験はチリでの新たな探究ポイントになりました。





午後からは車で約1時間半、コルチャグア・ヴァレーにある『Casa Silva カサ・シルバ』へ。
1892年創立、ボルドーからチリに移住したシルバ・ファミリーは現在5世代目です。長年ぶどう栽培農家として実績を積んできましたが、1997年自社での瓶詰めを開始。チリを代表する品種カルメネールの生産者として一目置かれています。

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まずは、カサ・シルバに隣設されているレストランで出していただいた泡からご紹介します。
生産本数は限定6000本で、一部英国に輸出されていますが、ほとんどは国内消費というスパークリング『Fervor』、喜びとか情熱を表現しています。瓶内二次発酵の上質な泡ものでした。

同ワイナリーはブラジル、英国、米国、アジア圏では中国、香港、フィリピン、ベトナム、タイ等20か国に輸出しているそうですが、残念ながら日本には入れていません。輸出する希望はあるそうですよ。

[リボン]追記(9月25日)
昨夜、アーノルドさんに訪問のお礼とブログの報告をしたところ、今朝にはお礼メールが!
併せて、if you know about a serious wine importer/distributor that might be a good partner for Casa Silva, please let us know, as you know we are not present in Japan and looking for distribution.
とのメッセージがありました。伝統があり、ワンランク格上のカルメネールを生産するワイナリーで、ワイン輸出額ランキングも32位(出典:JETRO 2010年)という実績を持つカサ・シルバ。日本とチリ間で締結されたEPA(経済連携協定)によって、毎年関税が低減していますし、2019年には関税が完全撤廃されるので、上質なチリワイン生産者は魅力的な存在です。カサ・シルバにご興味のある方は、青木まで、お知らせください。

醸造所の一角にはオーナー自慢のクラシックカーが
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歴史を感じるカサ・シルバの醸造所、これはコンクリートの発酵槽

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ステンレスタンクの前には・・・

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オーナー自慢のクラシックカーが!

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一部、Canton等のアメリカンオークも使用しています。

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醸造所の床材は廃物利用、オーク樽を使っています。

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各ワイナリーでは毎回10種類以上のアイテムが用意されており、各ワインのコメントは必須事項でした。ブログでは気になったワインを中心に書いていきます。

白ワインでは画像中央の『2013 カサ・シルバ ソーヴィニヨン・グリ1912ヴァインズ』に低温発酵由来の吟醸香を感じ、楚々としたイメージから、思わず“甲州”を連想。白い花、トロピカルフルーツ、ミネラル感、キレの良い酸(スクリューキャップなのでなおさら)、アフターに残る若干のビター感が好印象でした。樹齢はなんと100年を超えています。
お相手をしてくださったアーノルドさんに、「甲州を飲んだことがあるかどうか」聞いてみたところ、「ロンドンで2回ほど味わったことがある」とのお返事があり、嬉しくなりました。

両サイドのSBも品のある造りでした。特に右側の『2013 カサ・シルバ クール・コースト』は海から9kmの冷涼なエリアのぶどうで、特殊な黄色い砂質土壌とのこと。このワインについてはSB嫌いのジャンシス・ロビンソン女史も褒めています。3本ともアルコール度数が13%台だったのはプラス要素、チリワインにしては珍しいことでした!

「ボルドー品種のSBになぜブルゴーニュ型の瓶を使うのか」を質問したところ、「カサ・シルバスタイル」との回答でした。瓶型については最終日に訪問した『Vina Maipo』でも、SBにブルゴーニュ型を使っており、「消費者から聞かれませんか」と質問してみましたが、「まったくない」との返事。私は瓶型でボトル内の品種が100%理解できると思っているので、従来のワインの知識とは異なるチリの一面を垣間見た思いがしました。

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広報マネージャーンのアーノルドさんは丁度2週間予定でアジア方面の出張から戻ったばかり。
手にしている2本はカサ・シルバのアイコン・ワインで、目からうろこだったのは、彼が左手で持っている『2008 マイクロテロワール カルメネール』です。これはプロジェクトの成果の現れといえるワインで、気候、土壌、植物組成をもとに小区画に細分して管理した畑のぶどう(樹齢14年)を使って仕込んだワインです。生産本数は15000本とのこと。
まず、余韻の長さに驚きました。ブラックベリー、ブラックチョコ(ビター)、ヴァニラ、スパイス、ソフトなタンニンと穏やかな酸味、アルコール由来の甘さと暖かさが喉の奥に広がりました。
カサ・シルバのカルメネールにかける思いが十分に伝わってくるプレミアムワインです。

メルヘン調のゲストハウス
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彩りも可愛いベッドルーム

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バスルームと洗面所も広くてのびのび~

滞在2日目は同じコルチャグア・ヴァレーにある『モンテス』と『コノスル』を訪問しました。
ではまた!
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