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マダム・ルロワと髙島屋との出逢いのヴィンテージ1972から40年! [ワイン]

ワイン愛好家あこがれの存在マダム・ルロワ!
マダムの人となり、マダムのワインへの思いが綴られた『マダム・ルロワの愛からワイン(文園社刊)』の著者星谷とよみさんにお会いしてサインをいただいたのが2002年11月14日!
奇しくもマダムと髙島屋との交流30年目にあたる年でした。

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   ワインは生きています
   人間が一人ひとり違うようにまた、人間もその時どきをイキイキと生きるように
   ワインも生き続けています。まさに、生命そのものです
                        ~マダム・ルロワの愛からワイン~ 抜粋


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Takashimaya Salon 11月号  (C)髙島屋

老舗デパート『髙島屋』がマダム・ルロワのワインを日本に紹介して40年目になる2012年、素晴らしいテイスティングセミナーを開催(11月20日)しました。講師はマダムの右腕と称されるフレデリック・ロメールさん(中央)。ロメールさんは1980年後半、モナコの『ルイ・キャーンズ』でチーフ・ソムリエとして活躍、1994年にルロワ社の営業部長に就任。2004年からは取締役営業部長として ドメーヌの管理、醸造、販売を担当しています。今年80歳のマダムは、気管支の炎症で来日はかないませんでしたが、ロメールさんに素敵なメッセージを託されました。

1972年から2002年までの10年ごとの4ヴィンテージが登場
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マダム・ラル―・ビーズ・ルロワのあたたかな筆跡!

マダム・ルロワと髙島屋の記念ヴィンテージ1972
マダム・ルロワ:5本のワインは髙島屋さんとの40年にわたる交友関係を祝うために選んだもので、ワインそのものが40年経過しています。ワインがそれぞれの個性をしっかりと示す時がやってきました。これらのワインは歳月を経て花開いてきました。我々の共同関係も同じです。テロワールがいかに神秘的なものであるか・・・耳を傾けて聴いてくださる方にはワインが語りかけてくれるはずです。

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お互い良い仕事をして喜び合っていた1982
マダム・ルロワ:交流から10周年にあたる年に造られたワインです。1982年当時、お互い、それはそれは良い仕事をしていて、大いに喜びあったものです。そして今度は、ワインのほうが我々を喜ばせてくれる番になりました。30年経過したワインは花開き、比類なき元気さで我々に語りかけてくれることでしょう。

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~マダム・ルロワの愛からワイン~の一節から
マダム・ルロワは年ごとに確実に、本当のワインの味が少なくなっていることを危惧していました。そして、ある決断をするのですが、それについて触れている箇所を抜粋してみました。



  1987年のある日。つい最近、農業の本で紹介された友人に電話をしました。その人は、30年来の親交があるロワールの生産者マダム・ジョリーでした。「私自身が買い付けたいワインが、なくなってきているのです。土が悲鳴をあげているわ。あなたの農法を私に教えてください」

  マダム・ジョリーは1950年代のパリの国際試飲会で、初めてマダム・ルロワと会い、そこで、最高に難易度の高いテイスティングをすべてクリアした彼女の舌の確かさに驚嘆した経験があったのです。

  「美しく、聡明。本当のエレガンスを感じさせ、その通り、天才的なテイスティングをなさいました。(中略)そのとき、私は、この女性がフランスワインの未来を担う人だと、確信しました。 その彼女がですよ。自ら畑を作りたい。しかも、うちが大変な思いで転換した農法を習いたいというのです。30年前の予感が的中する思いでしたね」                      



マダム・ルロワがニコラ・ジョリーの母親マダム・ジョリーに電話をして、ビオディナミ農法を取り入れる契機となった出来事。マダムの姿が見えるシーンです。

ビオディナミ農法を取り入れて4年目のヴィンテージ1992
マダム・ルロワ:交流から30年、1992年は5本とも自社畑ドメーヌ・ルロワのワインです。ぶどう畑を購入したのは1988年で、ここでも髙島屋さんは大いなる友情を示し、我々の共同関係は強化されました。資本提携という形で3分の1を出費していただき、 それによって自社畑の購入がスムースに進みました。また、1992年はブルゴーニュではビッグヴィンテージではありませんが、1988年9月にぶどう畑を購入して、すぐにビオディナミ農法を導入して4年目にできたワインです。1992年という難しいヴィンテージでも世に認められる品質になっています。これだけのものが造れたことを誇りに思います。
ポマール・ヴィニョはヴィラージュものですが、ポマールのプルミエ・クリュ・ゼプノの72や82と並べても、ヴィニョはしっかりした存在感を示してくれるはずです。またヴォーヌ・ロマネはエシェゾーGCに匹敵するものあることをお確かめいただけることでしょう。

:ルドルフ・シュターナーが提唱した理論。月や天体の動きが植物に与える作用を重視し、種まき、枝の剪定など、すべての作業を黄道十二宮カレンダーに基づいて行う農法

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交流から30年、21世紀最高のヴィンテージといわれる2002
マダム・ルロワ:自社畑ドメーヌ・ルロワのワインで、ビッグヴィンテージイヤーです。造ってから10年経過したワインは、力にあふれ、素晴らしい未来が約束されています。髙島屋さんとの共同関係がさらに強化されれば、お客さまにより多くの幸せをお届けできると思っています。

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20脚のグラスがサービスされました。後方にグラスが増えているのがおわかりいただけますね。

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☆がドメーヌ・ルロワの所在地 (C)髙島屋


では、壮観なテイスティングを当日の流れのまま、表現してみます
※ワインはセミナーを開始(17時~)する1時間前に抜栓

まず、第1フライトはポマールから
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(左から)メゾン・ルロワで#1:プルミエ・クリュ ゼプノ1972、 #6:プルミエ・クリュ ゼプノ1982/ ドメ―ヌ・ルロワで#11:レ・ヴィニョ1992、#16:レ・ヴィニョ2002

ロメール:ポマールが固い感じのワインと思われがちなのは、ポマールにある四角ばった教会の鐘塔をみればわかるかな、そのイメージがワインに現れているかも。72年は花開いていて、82年は骨格があり、92年は収量が少なめで、02年はパワーとポテンシャルを備えています。92年も02年もビオディナミによるヴィラージュものですが、プルミエ・クリュと比較しても遜色ありません。

青木私感:最初に登場した72年の存在感大、熟成香(皮やチーズ) 、滑らかさ、82年のパワーと上品さ、余韻のふくらみ、4つのなかで92年だけ他と少し違う印象、香り閉じ気味なれど果実味あり、02年の時間の経過とともに変化する香りの魅力、果実の旨味、今後の熟成に大いに期待

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お隣のテーブルにいらっしゃった辰巳琢郎さん!
ポマールの騎士団から称号を授与されています。「今までなかなか感銘するポマールには出逢わなかったけど、72年と02年は素晴らしいです。72年は飲み頃で本当に美味しいポマールでした。今日はワインと同じ色のシャツを着てきたし(笑)」とユーモアを込めたコメントをくださいました。

第2フライトはニュイ・サン・ジョルジュです
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(左から)メゾン・ルロワで#2:プルミエ・クリュ シャブッフ1972、#7:プルミエ・クリュ レ・ブード1982/ ドメ―ヌ・ルロワで#12:レ・ブード1992、#17:レ・ブード2002

ロメール:ニュイ・サン・ジョルジュ(NSG)はミネラル感が特徴です。72年はすでに花開いている感じですが、まだまだパワーがあり、表現力もあります。82年はNSGのブードゆえのミネラル感が味わえます。パワーがあるので歳月が必要です。バランスがよく、青春期真っ只中です。表現力はこれから備えていく感じで、ワインはまだ内にこもっている印象です。92年は力強さがありますが、まだ閉じています。02年は「果物だなぁ、果実だなぁ」と感じます。マダムはワインを飲んだ時に、果物を食べているような感覚が戻ってきて欲しいと思いながらワイン造りをしています。これはマダムが常に追い求めているスタイルです。

青木私感:72年の力強さ、Alc由来の喉の奥に広がるあたたかさ、82年の干ぶどうやロースト香、旨味は魅力、92年はまだ閉じ気味なれど、パワー&重厚、02年の香りのインパクト、果実たっぷり感、将来性に期待

そして、第3フライトはエシェゾー&ヴォーヌ・ロマネ
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(左から)メゾン・ルロワで#3:エシェゾー グラン・クリュ1972、#8:同 グラン・クリュ1982

ロメール:エシェゾーにはパワフルさがあります。72年は開いていますし、82年には凛とした要素があります。

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(左から)ドメ―ヌ・ルロワで#13 :ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ1992、#18:同プルミエ・クリュ レ・ボーモン2002

ロメール:ヴォーヌ・ロマネは花にたとえられることが多く、第一香に白い花のニュアンスがあります。奥行、パワフルさがありながらデリケート。92年はライトなヴィンテージで、内にこもっていますが、力強さを感じます。02年は若々しく、第一香に白い花を思わせる香りがします。

青木私感:時間が経過しても力強いエシェゾー、72年も82年もこの先まだ花開く要素あり、ヴォーヌ・ロマネの92年の色調の濃さ、フローラルさ、バランスの良さ、02年の若々しさ、酸味と果実味のバランスは最高、惹かれました!

第4フライトは女性的なシャンボール・ミュズニー
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(左から)メゾン・ルロワで#5:プルミエ・クリュ レ・ シャルム1972、#9:プルミエ・クリュ レ・シャルム1982/ ドメ―ヌ・ルロワで#14:プルミエ・クリュ レ・シャルム1992、#19:プルミエ・クリュ レ・シャルム2002

ロメール:シャンボール・ミュズニーは滑らかでフローラル、デリケートなワインです。72年はバランス感があり、シルキーな爽やかさを感じます。82年はまだまだ若く、まだ赤ちゃんです。ミルクのにおいがしませんか(笑)。02年はぶどうを食べている感じで、ワインはこれから先、大いに表現力を備えていくことでしょう。

青木私感:マダムの神髄「経年してもワインの果実味を大事に」を感じさせてくれたのが、40年経過した72年ヴィンテージ、口中での滑らかさ、エレガントさに脱帽! 82年の凝縮感、ねっとり感。92年は閉じ気味ながら、ぶどうの凝縮感、口中での広がりは魅力、02年は色調濃いめで果実の要素たっぷり。シャンボール・ミュズニーらしさを十分に体感しました!

ラストの第5フライトは王者シャンベルタン
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(左から)メゾン・ルロワで#5:グランクリュ1972、#10:グラン・クリュ1982/ ドメ―ヌ・ルロワで#15:グラン・クリュ1992、#20:グラン・クリュ2002

ロメール:シャンベルタンには土のニュアンスがあり、パワフルでまったりした感じがします。72年は土の香り、赤いベリー(グリオットチェリー)の香り、パワフル。飲んでみればルロワのシャンべルタンと感じていただけるはずです。82年の第一香は72年と同じようにパワフルさがありますが、まだまだ若いです。92年は前者2つと同じく力強く、果実の凝縮感、爽やかさがあります。72年と02年には30年の差があり、これは加齢した人と若者が違うようにワインにもヴィンテージによる違いがあります。

青木私感:4つともに酸の印象があり、力強さ、口中でのふくらみ、余韻の長さは秀逸。72年でもこの先まだ花開く印象。82年のバランスの良さ、92年のパワー、個人的には02年に残るMLF由来の乳酸のニュアンスが好み、今飲んでも十分にうまさ堪能。とはいえ、まだまだ若く、素晴らしいポテンシャルなので、この先、40年、50年後を楽しみに、と表現したい02ヴィンテージ

2002年は誕生して10年のワインですが、今回のテイスティングでポテンシャルの素晴らしさを実感。先日、シャンパン編でも2002年ヴィンテージに特化したばかりだったので、ブルゴーニュ、シャンパーニュとも今後の熟成がさらに楽しみになりました。

ロメールさんからのひとこと
ワインが頂点にある時に飲んであげるのが良いのですが、その典型が1972年ヴィンテージです。若いワインたちにはこれから表現力を備えてくれるのを楽しみに待ちたいと思います。良いワインは、私たちが語らなくても、ワインのほうから語りかけてくれます。全体的にみて、82年には果実の存在感、凝縮感あります。まあ、72年と比べれば、まだ閉じている印象はありますが。92年はビオディナミの効果が出てきています。02年はやっと開き始めたかなぁという感じですが、パワフルさやバランス感がとても良いと思いますし、92年や02年には村の個性が良く出ています。

すべてのワインをテイスティングした後でIMG_5339 .jpg
フォアグラのパルフェー 甘酸っぱい林檎のピュレとともに
雲丹のムース キャビアとアンティーブ添え
うずらのバロンティーヌ コンソメジュレとトリフ添え
コンテチーズの洋梨のピンチョス
ココット入り 牛肉ラグー パルマンティエール風
鴨のリエット

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(1)カマンベール、(2)ポンレヴェlック、(3)ミモレットのチーズ盛り合わせ
私感ですが、(1)とヴォーヌ・ロマネ1992、(2)とシャンベルタン2002、そして(3)とシャンボール・ミュズニー・レ・シャルム1972と合わせた時の印象が最高でした。

供出されたワイン20種類を完飲するとワイン1本分(750ml)に相当するため、すべてを飲むことはできませんでしたが、今回ほど、「アルコールに強い体質ならどれだけ良かったか」と思ったことはありません。用意されていた吐器(紙コップ)は、ワインを思うと、とてもとても使えませんよね!

ワイン界に参入して、多くの素晴らしい方々との出逢いがあり、ワインの仕事をしていて本当に良かったと実感しています。そのようななかで、今回の体験はまさに仕事冥利な3時間半でした。お声掛けくださった髙島屋様、グッドリブ様に心から御礼申し上げます。今後ますますの発展、祈願しております。
感謝を込めて!


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