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岩の発酵槽(クップ)について  ~ラウル・ボべさんからのお返事~ [スペインリポート]

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先週、産経EXでスペイン・カステル・デンクスにある岩の発酵槽について書きました。アップ後、「山梨にある『ルミエール』さんの石蔵和飲の石蔵との違い」についてのツイートがありましたので、ラウル・ボべさんに質問してみました。本日、お返事が届きましたので、取り急ぎ、ブログにあげておきます。サポートしてくださった佐武祐子さんにも感謝しております!

類似点
■基本的に容器としての役割は同じ

相違点
■素材ですが、クップは火打ち石シレックス、石蔵は花崗岩(御影石)
シレックスは砂岩類なので、花崗岩より、細かい孔が多いこと。また、クップは地上にある天然の岩を削った槽(洞窟ではありません)で、コケなどの影響を受けています。それによって、より下草的なニュアンス、自然界のニュアンスがワインに現れてきます。
■湿度面でも、半地下と地上は違います。半地下で発酵する場合、温度が高くなりますが、その下に地下水が流れているので、それが冷却の役目を果たしているのだと思います。
クップで発酵する場合の温度は、赤で23度ほど、白は陽の当たらない涼しい場所にあるクップを使うので、18度 ほどで行っています。

ボベさんが主張したい点
■ワインへの直接の影響ということではありませんが、石垣を積み重ねて成形した石蔵と、天然の岩を削っただけの発酵槽で、かつ、中世から実際にワイン造りに使われていた発酵槽は異なります。

私は「百聞は一見に如かず、ならぬ“一飲”に如かず」で、お試し頂きたいワインだと思っています。

[ぴかぴか(新しい)]発酵槽で発酵中のワインはカタルニアのTVで放映された番組(カタラン語) http://bit.ly/rxvUu7  29分~36分に出てきます。ワイナリー和泉屋の新井社長がぶどう収穫から発酵までかかわった映像は以下のコメント部分でチェックなさってください。
本当に大変な作業です。
タグ:岩の発酵槽
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Yuko

青木先生、恐れ入ります。。。ワイナリーでクップありなしで様々な品種を比較試飲させて下さり、クップありのあの石をなめたような感じ、正にスーボワのニュアンスがあり、クップなしと全く違う特徴に改めて驚いたのを覚えています。しかもブドウを醸造所から一ケースずつ運んで、投入して、発酵して、ルモンタージュ etc, その作業の厳しさもとても印象に残りました!
by Yuko (2012-01-25 09:15) 

ワイナリー和泉屋

こんにちは、ワイナリー和泉屋の新井です。
素晴らしいレポート、本当に参考になりました。2010年秋、収穫や選果、そして岩穴でのワイン造りをほんの少しだけ体験させてもらいました。
http://www.youtube.com/watch?v=9ao9RgaNDDM

本当にわずかな時間だけでしたが貴重な経験となりました。とくにボデガから岩穴の発酵槽まで葡萄を運び、発酵槽の中に葡萄を入れる作業はとても大変な作業でした。

マスター・オブ・ワインのサラ・ジェーン・エヴァンス女史もここカステル・デンクスに来てこのクップ(岩穴の発酵槽でつくったワイン)を大絶賛し、もっとつくった方が良いと言って帰ったとボベさんから聞きました。

12世紀の発酵槽の遺跡でワインをつくりたくなっちゃうなんて、本当に好奇心旺盛で、スペインで最も知識、経験、技術をもっていると言われる醸造家のボベさんならではのワイン造りですよね。

基本的にはクップ100%のワインはつくらないそうですが、現在、日本だけで販売しているクエスト・エスペシアル・クップ2009だけはクップ100%のワインとなります。
http://www.wizumiya.co.jp/item/6705.html
なぜ、日本にだけクップ100%のワインがあるのかそれには理由があります。

カステル・デンクスは2011年世界のレストランBest50の第2位に輝いたカン・ロカのシェフ・ソムリエ、ジュセップ・ロカ氏が大のお気に入りのボデガです。

ジュセップ・ロカ氏は度々ボデガに訪れ、樽を試飲し、気に入ったワインを樽ごと購入すると聞きます。

2010年7月に訪問した際、ちょっとふざけてラウル・ボベ氏に僕もロカ氏と同じように樽を試飲し、気に入ったワインを樽ごと購入したいと言ったところ、あっさりと良いよと言われてしまいました。

たくさんの樽からワインをテイスティングし、一番気に入った樽が岩穴の発酵槽でつくったカベルネ・ソーヴィニヨンでした。基本的に私はカベルネ・ソーヴィニヨンはあまり好みではないので驚きました。

クエストにブレンドするために考えていた樽だったのでそのワインはクエスト・エスペシアル・クップと名づけられました。イレギュラーな商品なためクエストのラベルに "ESPECIAL CUP" と書かれたシールが貼られます・笑。

非常にエレガントできれいなワインに仕上がりました。ブラインドで飲むとカベルネ・ソーヴィニヨンはなかなか出てこないのではと思ってます。
濃く重いカベルネ・ソーヴィニヨンがお好きな方にはお勧めできないワインです。

私は個人的に『酸の綺麗さ、エレガントさ、冷涼さ、軽やかさ、緻密さ』の5つの要素を持つワインが大好きです。もしそういったワインがお好きな方でしたらこのクエスト・エスペシアル・クップ2009はとても楽しめるワインだと思います。

造りはスペインを代表する醸造家のラウル・ボベがつくるワインです、問題は好みか好みでないかだけです。

ぜひ、お試しあれ。
by ワイナリー和泉屋 (2012-01-25 12:38) 

fumiko

祐子様、今回は急ぎのお願いを聞いていただき、ありがとうございました。
ボベさんからも「カステル・デンクス、発酵槽に興味を持っていただき、ありがとう」というメールが届きました。
12月の比較試飲は祐子さんがお書きになっているように、貴重な体験でした。これはいろいろ聞くより、まずはお試しあれ、だと思います。
私はクップで造るピノに興味津々です。


新井治彦社長、12月は大変お世話になりました。
ブログの最後に参考として、カタラン語のyoutubeと新井社長の収穫作業のそれを載せておきます。
これはまさしく「百聞は一見に如かず」の画像ですね。
私もマスター・オブ・ワインのサラ・ジェーン・エヴァンス女史に同意です。
今はクップで発酵させたワインを10%程度加えた「タラルン」が好きですが、12月の試飲以降、ピノに心惹かれております。
ボベさんの活躍にも期待しています。
by fumiko (2012-01-25 13:21) 

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