『パイパー・エドシック』の最高醸造責任者来日! ~調合(ブレンド)が意味するもの~ [シャンパン]
1週間以上、間があいてしまいました(・_・、)
素晴らしいワイン生産者&関係者の来日が続き、ブログでお伝えしたいことがたくさんあるのですが、すこ~しアップが遅れ気味です。できるだけ急ぎま~す。
今回はシャンパンメゾン『パイパー・エドシック』の最高醸造責任者レジス・カミュさんの7回目の来日にともなう、面白い実習を含めたセミナー報告です。ここではシャンパン造りにおける調合(英:ブレンド、仏:アッサンブラージュ)が意味するもの、同メゾンのシャンパンスタイル等をまとめておきますね。
リカーショップ愛の安井康一社長から「7月7日ウチでパイパーのセミナーをやるから空けといて」と言われていたので、7日を楽しみにしていました。セミナーではシャンパンのベースワイン(原酒)の調合を体験。6~7年前にアンリオ社のオーナーが来日した時、東京で初体験して以来です。当時と今を比べると、シャンパン探究の年数を重ねている分、より興味深く話を伺うことができました。
シャンパンメゾンの顔はノン・ヴィンテージ(NV)、そのスタイルは毎年同じ
ぶどう栽培の北限に近いシャンパーニュ地方では毎年良いぶどうが穫れるとは限りません。そのため、メゾンの顔と言えるノン・ヴィンテージのシャンパンは、異なる収獲年(ヴィンテージ)、異なる畑(クリュ)、異なるぶどう品種(基本的に白ぶどうのシャルドネ、黒ぶどうのピノ・ノワール&ピノ・ムニエの3品種)の原酒を調合することで、毎年均一な品質の味わいを出すようにしています。これはシャンパーニュ地方の長い歴史のなかから生み出された知恵であり、シャンパーニュ地方はフランスで唯一、赤ワインと白ワインをブレンドしても良いAOC※になっています。
※Appellation d'Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)の略。1935年に制定されたワインの法律
調合(ブレンド)ってなに?
左から順に2009年ヴィンテージの(1)シャルドネ(アヴィーズ村)、(2)ピノ・ノワール(アイ村)
(3)ピノ・ムニエ(ジュイ・レ・ランス村)の原酒
2007年ヴィンテージの(4)リザーブワイン(シャルドネ+ピノ・ノワール)
各メゾンにはリザーブワインと呼ばれる、過去何年間かにわたって保存されているスティルワイン(非発泡ワイン)があります。シャンパン造りでは、収穫したてのぶどうから造ったワイン(原酒)をリザーブワインと調合し、蔗糖(しょとう=糖分)と酵母を加えて瓶詰してから、王冠で密閉します。発酵は糖分と酵母があれば自然に起きるので、瓶内では新たな活動が始まり、密閉されているためガスが逃げません。その結果、ボトルの中で誕生する細かな自然の気泡が保持される、というわけです。
(1)はコート・デ・ブラン地区にあるグランクリュ、アヴィーズ村の原酒
特徴:春の白い花の香り、果実のフルーティさ、繊細、優雅、ミネラル
(2)はヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区にあるグランクリュ、アイ村のピノ・ノワールの原酒
特徴:赤い種つきの果実、骨格、腰の強さ
(3)はランスに近いジュイ・レ・ランス村のピノ・ムニエの原酒
特徴:フローラル、フルーティ、色の濃い果実が詰まったバスケット
(4)は2007年産のシャルドネとピノ・ノワールをブレンドしたリザーブワイン
特徴:シャルドネ由来のバター、ハチミツ、ブリオッシュ、ピノ由来のふくらみのあるポテンシャル
実習では1,000mlのビーカーに(1)を500ml、(2)250ml、(3)250ml、(4)50mlを入れ、その後、攪拌(かくはん)して各自試飲。同メゾンでは5~6ヶ月かけて、100~120ほどの原酒やリザーヴワインの中から50種あまりを選び、ブレンドして毎年同じ味わいのNVを造り出しています。
赤いラベルが目印のパイパー・エドシック・ブリュットは“輝きがあり弾ける”スタイルが特徴であり、総生産量の85%がNVという点も、同メゾンのNVにかける思いが現れています。
テイスティングワイン@リカーショップ愛
#1:Piper-Heidsieck Brut
●PN50~60% PM25~35% CH15~20% リザーブワイン最大20%
3つの品種の足りない点を補う合う目的でブレンドを行っています。
#2:Piper-Heidsieck Rare1999
●CH70% PN30%(モンターニュ・ド・ランスにあるプルミエクリュのCH、PN)
1976年初リリース、76年は酷暑の年でした。当時の醸造スタッフたちは酷暑だったからこそ、ピュアなスタイルのシャンパンを造ろうと考えたそうです。85年は厳しい年、88年は自然が豊かな年、99年は独特の年であり、それらをレアヴィンテージで表現。次のリリースは2002年を予定とのこと。
#3:Piper-Heidsieck Brut Vintage2000
●PN55% CH45%
参考として:2007年はPMにとって素晴らしい年であり、通常PMはヴィンテージ物にはブレンドしませんが、2007年産のPMだけは例外中の例外として、ヴィンテージ物に使ったそうです。
#4:Piper-Heidsieck Rose Sauvage
●PN50~60%(赤ワイン20~25%) PM25~35% CH15~20% リザーブワイン最大20%
「赤の色素は安定しにくいため、調合して30ヶ月後に色をしっかりキープしておかなければなりません」とカミュさん。シナモン、ピンクGF、ブラッドオレンジ、ワイルドスパイス等のニュアンス
料理とシャンパンのマリアージュも加わって@マンダリンオリエンタル東京「SENSE」
翌日の8日はマンダリンオリエンタル東京でプレス・セッションが行われました。“ノン・ヴィンテージの可能性”をテーマに、常に安定した味わいを生み出し続けるNV、加えてさらに前進していかなければならないNVにフォーカスし、参加者一同、調合を実際に行いながら、料理とのマリアージュにトライ。同メゾンのシャンパンスタイルを学習しました。
実技で供された各グラス、グラスが違うと色調も違って見えます。左から(1)、(2)、(3)、(4)の順
同テーブルで調合に挑戦した名越康子さん(右)と在日19年日本語が堪能なレミー・コアントロー 北東アジア・パシフィック代表取締役マンゴ・ギルクリスト氏(中央)
青パパイヤのオリエンタルハーブサラダ、水蛸と青柳の葱生姜マリネを添えて
ブリュットNVとオリエンタルハーブの口中での相性良し。香りと旨味が畳みかけるように広がって
香港点心師 張シェフ特製本日の三種蒸し餃子/広東ニ種野菜のコンビネーション
ブリュットNVの泡効果、舌に残る脂分をきれいさっぱり洗い流してくれる印象
SENSE特製車海老のマンゴーマヨネーズソース、ベビーリーフ添え/和牛ひき肉入りチャーハン
ブリュット・ヴィンテージ2000の香ばしい黄金糖のようなキャラメル風味がマンゴーの甘味と絶妙 / 同ヴィンテージ2000のロースト風味とチャーハンの焦げた印象もバランス良
レモンゼリー入りスイカのピュレ、バジルシードコラーゲンとミントの香り
ロゼ・ソバージュNVとはヴィジュアル的に相性最高! ソバージュを飲んでスイカを合わせると、シャンパン単独で飲むと感じなかった酸味、スパイシーさが出てきて面白いマリアージュに
食事の合間、カミュさんにいくつかの質問をしたのですが、彼の人となりが良くわかりました!
答えにくいとは思いますが、コート・デ・ブラン、モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌの各エリアのなかでカミュさんご自身が一番お好きな村は
C:私の答えは記事になりますか? 記事にすると、それが定着してしまいます。名前を出さなかった村から「どうして?」と聞かれますし、ヴィンテージによってぶどうの出来も違うので、なかなか言いにくいです。(とおっしゃったのでお答えがないのかな~と思っていたところ) ただ、どうしても書くということであれば、私がそれぞれのぶどう品種に求めているもの、私がイメージしているものが“そこにある”という風にご理解いただき、上手に書いてください。
シャルドネ(コート・デ・ブラン)のイメージは「Cremantクラマン」にはあります。ぶどう品種の個性、繊細さ、ミネラルが表現されています。ピノ・ノワール(モンターニュ・ド・ランス)なら、そのイメージは「Verzyヴェルジ」です。ぽ~んと飛び出したような印象ではなく、ストレート、まっすぐなピノです。ピノ・ムニエ(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)に関しては、調合に使ったJouy-les-Reimsも好きですが、私が求めるぶどうのイメージはそこにではなく、プライベートな思い出も加味して考えると「Verneilヴェルヌイユ」です。ピノ・ムニエらしさを備えていると思っています。
現在180村からぶどうを買い付けているそうですが、グラン・クリュとプリミエ・クリュの比率は
C:グラン・クリュは12%程度だと思いますが、定かではありません。私は畑の格付けに意味を感じていません。それよりも多様性に重きを置いています。今回調合でたまたまグラン・クリュ畑のアイのPNやアヴィーズのCHを使いましたが、その時の特徴で良いと思ったものを使っています。ですからリザーブワインの中にはグラン・クリュ、プルミエ・クリュでないものもたくさんあります。私は格付けでがんじがらめにはなりたくありませんし、ワインが語りかけてくる声を聞くことが大事だと思っています。
すべてのシャンパンはドザージュ量が12g/Lということですが、他メゾンと比較すると量的には多いほうですね
C:味わい、バランスを考えてそれが一番良いと考えています。パイパーのシャンパンを飲んだ人の多くは6~7g/Lの印象を持つようです。私はシャンパンを飲んだ時にほっとする部分が欲しいのです。それは“やさしさ”に繋がるからであり、柔らかくてセクシーなものになるからです。最近、糖分添加をしないノン・ドザージュが出ていますが、ノン・ドゼを好む人はまだまだ少数派であり、特殊な人たちだと感じています。
2002年最高醸造責任者に就任後、2004年に英国インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のスパークリング・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞、さらに2007年、2008年、2009年と3年連続で同賞を受賞なさっているカミュさん。シャンパン造りだけでなく、言葉の重みも十分ご存知なだけに、時には禅問答のような感じの受け答えもあり、とても面白かったです。有意義な時間を共有させていただいたことに心から感謝しています。
素晴らしいワイン生産者&関係者の来日が続き、ブログでお伝えしたいことがたくさんあるのですが、すこ~しアップが遅れ気味です。できるだけ急ぎま~す。
今回はシャンパンメゾン『パイパー・エドシック』の最高醸造責任者レジス・カミュさんの7回目の来日にともなう、面白い実習を含めたセミナー報告です。ここではシャンパン造りにおける調合(英:ブレンド、仏:アッサンブラージュ)が意味するもの、同メゾンのシャンパンスタイル等をまとめておきますね。
リカーショップ愛の安井康一社長から「7月7日ウチでパイパーのセミナーをやるから空けといて」と言われていたので、7日を楽しみにしていました。セミナーではシャンパンのベースワイン(原酒)の調合を体験。6~7年前にアンリオ社のオーナーが来日した時、東京で初体験して以来です。当時と今を比べると、シャンパン探究の年数を重ねている分、より興味深く話を伺うことができました。
シャンパンメゾンの顔はノン・ヴィンテージ(NV)、そのスタイルは毎年同じ
ぶどう栽培の北限に近いシャンパーニュ地方では毎年良いぶどうが穫れるとは限りません。そのため、メゾンの顔と言えるノン・ヴィンテージのシャンパンは、異なる収獲年(ヴィンテージ)、異なる畑(クリュ)、異なるぶどう品種(基本的に白ぶどうのシャルドネ、黒ぶどうのピノ・ノワール&ピノ・ムニエの3品種)の原酒を調合することで、毎年均一な品質の味わいを出すようにしています。これはシャンパーニュ地方の長い歴史のなかから生み出された知恵であり、シャンパーニュ地方はフランスで唯一、赤ワインと白ワインをブレンドしても良いAOC※になっています。
※Appellation d'Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)の略。1935年に制定されたワインの法律
調合(ブレンド)ってなに?
左から順に2009年ヴィンテージの(1)シャルドネ(アヴィーズ村)、(2)ピノ・ノワール(アイ村)
(3)ピノ・ムニエ(ジュイ・レ・ランス村)の原酒
2007年ヴィンテージの(4)リザーブワイン(シャルドネ+ピノ・ノワール)
各メゾンにはリザーブワインと呼ばれる、過去何年間かにわたって保存されているスティルワイン(非発泡ワイン)があります。シャンパン造りでは、収穫したてのぶどうから造ったワイン(原酒)をリザーブワインと調合し、蔗糖(しょとう=糖分)と酵母を加えて瓶詰してから、王冠で密閉します。発酵は糖分と酵母があれば自然に起きるので、瓶内では新たな活動が始まり、密閉されているためガスが逃げません。その結果、ボトルの中で誕生する細かな自然の気泡が保持される、というわけです。
(1)はコート・デ・ブラン地区にあるグランクリュ、アヴィーズ村の原酒
特徴:春の白い花の香り、果実のフルーティさ、繊細、優雅、ミネラル
(2)はヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区にあるグランクリュ、アイ村のピノ・ノワールの原酒
特徴:赤い種つきの果実、骨格、腰の強さ
(3)はランスに近いジュイ・レ・ランス村のピノ・ムニエの原酒
特徴:フローラル、フルーティ、色の濃い果実が詰まったバスケット
(4)は2007年産のシャルドネとピノ・ノワールをブレンドしたリザーブワイン
特徴:シャルドネ由来のバター、ハチミツ、ブリオッシュ、ピノ由来のふくらみのあるポテンシャル
実習では1,000mlのビーカーに(1)を500ml、(2)250ml、(3)250ml、(4)50mlを入れ、その後、攪拌(かくはん)して各自試飲。同メゾンでは5~6ヶ月かけて、100~120ほどの原酒やリザーヴワインの中から50種あまりを選び、ブレンドして毎年同じ味わいのNVを造り出しています。
赤いラベルが目印のパイパー・エドシック・ブリュットは“輝きがあり弾ける”スタイルが特徴であり、総生産量の85%がNVという点も、同メゾンのNVにかける思いが現れています。
テイスティングワイン@リカーショップ愛
#1:Piper-Heidsieck Brut
●PN50~60% PM25~35% CH15~20% リザーブワイン最大20%
3つの品種の足りない点を補う合う目的でブレンドを行っています。
#2:Piper-Heidsieck Rare1999
●CH70% PN30%(モンターニュ・ド・ランスにあるプルミエクリュのCH、PN)
1976年初リリース、76年は酷暑の年でした。当時の醸造スタッフたちは酷暑だったからこそ、ピュアなスタイルのシャンパンを造ろうと考えたそうです。85年は厳しい年、88年は自然が豊かな年、99年は独特の年であり、それらをレアヴィンテージで表現。次のリリースは2002年を予定とのこと。
#3:Piper-Heidsieck Brut Vintage2000
●PN55% CH45%
参考として:2007年はPMにとって素晴らしい年であり、通常PMはヴィンテージ物にはブレンドしませんが、2007年産のPMだけは例外中の例外として、ヴィンテージ物に使ったそうです。
#4:Piper-Heidsieck Rose Sauvage
●PN50~60%(赤ワイン20~25%) PM25~35% CH15~20% リザーブワイン最大20%
「赤の色素は安定しにくいため、調合して30ヶ月後に色をしっかりキープしておかなければなりません」とカミュさん。シナモン、ピンクGF、ブラッドオレンジ、ワイルドスパイス等のニュアンス
料理とシャンパンのマリアージュも加わって@マンダリンオリエンタル東京「SENSE」
翌日の8日はマンダリンオリエンタル東京でプレス・セッションが行われました。“ノン・ヴィンテージの可能性”をテーマに、常に安定した味わいを生み出し続けるNV、加えてさらに前進していかなければならないNVにフォーカスし、参加者一同、調合を実際に行いながら、料理とのマリアージュにトライ。同メゾンのシャンパンスタイルを学習しました。
実技で供された各グラス、グラスが違うと色調も違って見えます。左から(1)、(2)、(3)、(4)の順
同テーブルで調合に挑戦した名越康子さん(右)と在日19年日本語が堪能なレミー・コアントロー 北東アジア・パシフィック代表取締役マンゴ・ギルクリスト氏(中央)
青パパイヤのオリエンタルハーブサラダ、水蛸と青柳の葱生姜マリネを添えて
ブリュットNVとオリエンタルハーブの口中での相性良し。香りと旨味が畳みかけるように広がって
香港点心師 張シェフ特製本日の三種蒸し餃子/広東ニ種野菜のコンビネーション
ブリュットNVの泡効果、舌に残る脂分をきれいさっぱり洗い流してくれる印象
SENSE特製車海老のマンゴーマヨネーズソース、ベビーリーフ添え/和牛ひき肉入りチャーハン
ブリュット・ヴィンテージ2000の香ばしい黄金糖のようなキャラメル風味がマンゴーの甘味と絶妙 / 同ヴィンテージ2000のロースト風味とチャーハンの焦げた印象もバランス良
レモンゼリー入りスイカのピュレ、バジルシードコラーゲンとミントの香り
ロゼ・ソバージュNVとはヴィジュアル的に相性最高! ソバージュを飲んでスイカを合わせると、シャンパン単独で飲むと感じなかった酸味、スパイシーさが出てきて面白いマリアージュに
食事の合間、カミュさんにいくつかの質問をしたのですが、彼の人となりが良くわかりました!
答えにくいとは思いますが、コート・デ・ブラン、モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌの各エリアのなかでカミュさんご自身が一番お好きな村は
C:私の答えは記事になりますか? 記事にすると、それが定着してしまいます。名前を出さなかった村から「どうして?」と聞かれますし、ヴィンテージによってぶどうの出来も違うので、なかなか言いにくいです。(とおっしゃったのでお答えがないのかな~と思っていたところ) ただ、どうしても書くということであれば、私がそれぞれのぶどう品種に求めているもの、私がイメージしているものが“そこにある”という風にご理解いただき、上手に書いてください。
シャルドネ(コート・デ・ブラン)のイメージは「Cremantクラマン」にはあります。ぶどう品種の個性、繊細さ、ミネラルが表現されています。ピノ・ノワール(モンターニュ・ド・ランス)なら、そのイメージは「Verzyヴェルジ」です。ぽ~んと飛び出したような印象ではなく、ストレート、まっすぐなピノです。ピノ・ムニエ(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)に関しては、調合に使ったJouy-les-Reimsも好きですが、私が求めるぶどうのイメージはそこにではなく、プライベートな思い出も加味して考えると「Verneilヴェルヌイユ」です。ピノ・ムニエらしさを備えていると思っています。
現在180村からぶどうを買い付けているそうですが、グラン・クリュとプリミエ・クリュの比率は
C:グラン・クリュは12%程度だと思いますが、定かではありません。私は畑の格付けに意味を感じていません。それよりも多様性に重きを置いています。今回調合でたまたまグラン・クリュ畑のアイのPNやアヴィーズのCHを使いましたが、その時の特徴で良いと思ったものを使っています。ですからリザーブワインの中にはグラン・クリュ、プルミエ・クリュでないものもたくさんあります。私は格付けでがんじがらめにはなりたくありませんし、ワインが語りかけてくる声を聞くことが大事だと思っています。
すべてのシャンパンはドザージュ量が12g/Lということですが、他メゾンと比較すると量的には多いほうですね
C:味わい、バランスを考えてそれが一番良いと考えています。パイパーのシャンパンを飲んだ人の多くは6~7g/Lの印象を持つようです。私はシャンパンを飲んだ時にほっとする部分が欲しいのです。それは“やさしさ”に繋がるからであり、柔らかくてセクシーなものになるからです。最近、糖分添加をしないノン・ドザージュが出ていますが、ノン・ドゼを好む人はまだまだ少数派であり、特殊な人たちだと感じています。
2002年最高醸造責任者に就任後、2004年に英国インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のスパークリング・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞、さらに2007年、2008年、2009年と3年連続で同賞を受賞なさっているカミュさん。シャンパン造りだけでなく、言葉の重みも十分ご存知なだけに、時には禅問答のような感じの受け答えもあり、とても面白かったです。有意義な時間を共有させていただいたことに心から感謝しています。
私は昔から度々失敗しているのですが、
店頭でのワイン選びって、店員の説明だけでは難しいですよね。
by vientre-dolor (2010-07-12 09:13)
vientre-dolorさん、なんと迅速な反応!
拙ブログですが、ここでワイン学習のお手助けができれば、
dolorさんのワイン選びも楽しくなるはずです(笑)
by fumiko (2010-07-12 09:20)
おお~ブレンドの実践!!すごく面白そう!!かなり飲んでみたかったです。
クリュグ家で子供が生まれるとクロ・デュ・メニルを最初に飲ませるというので姪にも何かシャンパンを・・・・・と思いましたが、家族中に反対されそうなのでやめました(笑)。
by yuka (2010-07-12 17:18)
ご無沙汰しております。
連日お忙しいご様子ですね。
季節の変わり目ということもあり、くれぐれもご自愛ください。
ワインのことについては全くの素人で、いつも目の保養?をしているだけで気の利いたコメントが出来ず申し訳ありません。
by Koji (2010-07-12 18:53)
こんにちはー
書き込み、久しぶりです、いつもありがとうございます。
シャンパンの原酒(スティルワイン)のブレンド、これ、面白いですよね。
先週の土曜日にプリオラートのワインで同じようなことをしました。
先生にもお越しいただいたアンリオの会、百人の参加者でグラスを千百脚つかったワイン会懐かしいです。
私もこの原酒のブレンドは何度かやったことがありますがもう何年前だか忘れてしまいましたが一番最初にやったときはどのワインも酸が強くて飲めるようなワインじゃなかったのに、最後にやったときは美味しいと飲めてしまうワインでした。
なんかキリッとする酸がだんだんなくなっているように感じました。
今回はそんな風に感じませんでしたか?
数値的には酸はあるのですが糖度なども増すためかいまいちキリッとした酸を感じられなく、将来、今の味が続くのかなぁなんても思ってます。
どんなものなのでしょう・・・。
by ワイナリー和泉屋 (2010-07-13 10:44)
レモンゼリー入りスイカのピュレの後ろに並んだグラス
ごとに色の違い本当に綺麗ですね、いつかワインの色
濃淡世界を写心の世界で表現したいと思ってます!
Shin.Sion
by Shin.Sion (2010-07-14 04:22)
yukaさん、可愛い姪っ子ちゃんには洗礼のシャンパンではなく、成人式用のシャンパンを!容量の大きなサイズのNVシャンパンなら20年後でも楽しめますよ。
kojiさん
お仕事柄、気疲れの多いkojiさんなのですから、お気遣いは
なさらなくて大丈夫ですよ~目の保養になれば幸いです♪
今後ともよろしくお願いいたします。
penguingさん、チェック、ありがとうございました!
winoさん、チェックありがとうございます。
REIさん、チェック、ありがとうございます!
by fumiko (2010-07-17 00:28)
haruさん、アンリオ@TSUKI CLUBのブレンドセミナーは参加者100名規模の贅沢な会でしたね、グラスの数の多さ、今でもはっきり覚えています。
中島董商店が輸入元の時代でした。haruさんも頑張りましたよね。
>一番最初にやったときはどのワインも酸が強くて飲めるようなワインじゃな>かったのに、最後にやったときは美味しいと飲めてしまうワインでした。
>なんかキリッとする酸がだんだんなくなっているように感じました。
>今回はそんな風に感じませんでしたか?
昨年、ローラン・ペリエとボランジェで2008年のヴァン・クレールを試飲しました。2008年は収穫時、冷蔵庫に入っているような温度だったので、ぶどうは傷まず、酸味がきりっとしたぶどうで素晴らしい原酒になっていました。
2008年の原酒と比べると、今回、ご持参いただいた2009年は酸味が優しいと感じました。ヴィンテージによる差は感じました。
>数値的には酸はあるのですが糖度なども増すためかいまいちキリッとし?>た酸を感じられなく、将来、今の味が続くのかなぁなんても思ってます。
カミュさんは「すべてのアイテムはアルコール発酵の後、MLFを行います。発酵によって糖分はゼロになるのでドザージュを施しますが、その量は12g/Lです」と話していました。2000年ヴィンテージを試飲した時、コーヒーや黄金糖のようなニュアンスを感じました。これは12g/Lの糖分と10年間の熟成によるアミノカルボニル反応によるものだと思っていますが、シャンパンに含まれている泡のおかげで、長熟期間中に、色調はクリーンに、また酸味もより研ぎ澄まされていくと感じています。
このあたりの変化については、近々『プロの流儀』で調べてみますね。
by fumiko (2010-07-17 02:07)
Shin・Sionさん パリ祭7月14日のコメントですね。
レスの間があいてしまい、失礼いたしました♪
>いつかワインの色
>濃淡世界を写心の世界で表現したいと思ってます!
是非とも望むところです。
特にシャンパンの気泡のアップは撮り甲斐ありますよ。
実現する日を心待ちにしております!
gillmanさん、チェックありがとうございました!
hiroさん、チェック、ありがとうございました♪
コメントがあったような気がしておりますが・・・
by fumiko (2010-07-17 02:18)
おはようございます。
4枚目、調合しているんですか。
実験をしているみたいですね。
容器も試験管みたいですし^^
by toki (2010-07-18 09:50)
fumikoさま
これぞ fumikoワールド!!
目がくらみそうです。
@@)グランマ・ぴよ拝
by グランマ・ぴよ (2010-07-18 11:54)
tokiさん、nice&コメント、ありがとうございます♪
>4枚目、調合しているんですか。
はい、そうなんです。
シャンパーニュ地方で実際に調合する場合は、
ブログのように4種類だけを混ぜる、という単純なものではなく、
何十種類の原酒やリザーブワインを使い、仕上げていきます。
グランマ・ぴよ様、コメントありがとうございました!
今後も楽しく&わかりやすいfumikoワールドを展開していきたいです。
息切れしそうになったら、ぴよ様にSOSを出しますね(笑)
by fumiko (2010-07-19 00:52)
miumiuさん、いつの日かシャンパン講座で
アッサンブラージュ体験をしていただけることを願いつつ~
by fumiko (2010-07-24 13:53)
先般の帰国にはJ社のフライトを利用しましたが、たまたま往き(日本行き)はパイパー(表記はピペ)、帰りはドゥラモットでした。往きの方が甘い感じだったなぁと思って、帰りの便ではCAさんのところまで行ってボトルを確認しました(ボトルからでなく注がれたグラスを渡されたので)。ドサージュが多いとの話には納得です。
by uge (2010-08-07 10:12)