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ぶどう由来のタンニンと樽材由来のタンニンって、口中での感じ方どう違うの? [ワイン]

今日はワインの“渋み”についてお伝えしますね。
「白ワインは好きだけど、赤ワインは渋くて・・・」とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。ワインに親しんで間がない方に多い傾向です。私もワイン界に参入してすぐの頃は爽やか、甘やか、キレイな酸味のドイツワインに馴染んでいたので、多くのワインラバーさんと同じ!
でも、初心者が苦手とする“渋み”、これはワインの骨格形成や長熟のための大事な要素なんです。

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「“渋み”は味覚で分類すると、収斂性(しゅうれんせい)で、これは摩擦(まさつ)と捉えることができます」と教えてくださったのは、過去に取材でお目にかかったワインメーカーさんたちです。
もう少し、細かく説明すると・・・
人間の舌が、ポリフェノールに“こすられる”という感じだそうで、舌の上で摩擦を起こすのは、赤ワインに含まれるものでは、タンニンやアントシアニンなどのポリフェノール類。そのため、程度の差こそあれ、ブドウ由来でも樽由来でも、ポリフェノールには収斂性があるので、収斂性の強弱でこすられる印象が決まる由。

IMG_5634GF.JPG

いくつかポリフェノール類をあげると、
(1)種子由来のタンニン (2)果皮由来のタンニン (3 )果皮由来のアントシアニン
(4)樽由来のタンニン および 果汁中の(カテキンなどの)ポリフェノール
があり(1)から(4)の順で渋みが減ってくるそうです。

また、ワインは熟成とともに、ポリフェノールが構造変化を起こし、舌触りが柔らかくなってきます。若いワインを飲んで、舌に貼りつくような“渋み”を感じたら、それは未熟な“種子”由来のタンニンだと推定でき、逆に、リッチな赤ワインで、舌触りが柔らかく、それも若いワインであれば、“果皮“”と“樽”由来のタンニンに加えて、熟した“種子”由来のタンニンがたっぷりにあると考えられるということでした。

HPの『プロの流儀』に新しい質問&回答をアップしました。
“ぶどう由来のタン二ンと樽由来のタンニンの口中での感じ方の違い”です。
>>>http://www.non-solo-vino.net/knowledge.html

ワインの説明をする場合、特に醸造面では化合物の名は避けて通れないため、難解になりがちです。回答してくださった戸塚昭先生も「化合物の名前を入れるというのは、初心者を煙に巻くようで本意ではありませんが、他に方法がないので、ご容赦ください」とおっしゃっていました。

今回、過去に取材させていただいたワインメーカーさんから伺った話のメモを引っ張りだして、“渋み”についてフォローしてみました。赤ワインを飲んで“渋み”を感じたら、その時、拙ブログに書いてあるポリフェノール類を思い出していただけましたら嬉しいです。

最後に・・・
故麻井宇介先生は『比較ワイン文化考(中央公論社刊)』の中で、「人間が“味覚”を学ぶ過程で、一番最初に受け入れるのは“甘み”であり、成長するにつれて“塩味”、“酸味”を、そして、最後に“渋み”を学習していく」と書いています。ワインの渋みがわかるようになるということは、人間の味覚の成長を表しているわけですね。
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vientre-dolor

私は、白よりも赤の方が好きです。
白には何ともいえない抵抗感が有ります。
by vientre-dolor (2010-07-02 19:51) 

REI

とっても分かりやすい説明で私も勉強になりました!
私の場合、カンティーナへご案内する方は、ワインのプロではなく、食愛好家、もしくは料理の先生・シェフ、、、などです。
ワインを説明するときって、難しいと分かってもらえないし、
難しいことを分かりやすく説明するため、日本語の語彙力も必要です。
日々、勉強です。
今日は、フローリオ&ドンナフガータへ行ってきました。
この時期のカンティーナはシチリアではそろそろ始まるブドウの収穫に向けて、
どこも大掃除中です(笑)
by REI (2010-07-03 03:24) 

Shin.Sion

渋み勉強になりました!

最後に人間の味覚の成長について書かれてますが
子供の時にピーマンなどが苦手なのは実はこのコト
とリンクしてるそうです。

渋みや苦味のあるモノを食べると幼少期はカラダに
とって危険な食べ物であると始めは脳が判断するそ
うです。

コーヒーやその他の飲み物も小学生の時美味しいと
感じませんでしたからね~、人も色んな経験と年月
をかけてワインのように熟成されて行きたいものです。

Shin.

by Shin.Sion (2010-07-04 04:39) 

fumiko

vientre-dolorさんは赤ワイン好きなのですね。
>白には何ともいえない抵抗感が有ります。
香り? 味わい? 抵抗感の元を探ってみたいです(笑)


REIさん、コメントありがとうございました。
>ワインを説明するときって、難しいと分かってもらえないし、
>難しいことを分かりやすく説明するため、日本語の語彙力も必要です。
難解なことを“いかにわかりやすく”表現するか、あるいは記述するか、
書くことである程度頭の中が整理できるので、話すこと&書くことは連動している
と私は思っています。
シチリアにいらっしゃる多くのワイン愛好家さんたちを簡単・明瞭な解説で、
魅了してくださ~い♪


Shin.Sionさん、ありがとうございます! コメント通りです。
>渋みや苦味のあるモノを食べると幼少期はカラダに
>とって危険な食べ物であると始めは脳が判断するそ
>うです。
私も今では個性ある香りや味わいの食材にも慣れて、一応、
大人の味覚を理解できるようになりましたが、
ゴウヤの苦味だけは、いまだに脳が反応しているようです(笑)

>人も色んな経験と年月
>をかけてワインのように熟成されて行きたいものです。
はい、同感です!


ほりけんさん、チェック、ありがとうございました♪

tsukaさん、nice、ありがとうございました!

kojiさん、いつもお気遣い、ありがとうございます♪

Winoさん、チェック、ありがとうございました!!

by fumiko (2010-07-04 20:13) 

gillman

そうですか、渋みは樽からも出るんですね。樽もワインの原料の一部なんですね。そのワイン樽はやがてぼくの大好きなアイラウィスキーのボウモアなんかの揺りかごになるかもしれないんですね。
by gillman (2010-07-04 20:30) 

hako

プロアントシアニジン、加水分解とは別な反応による構造変化、
加水分解型ポリフェノールと、なるほどでした。
小さい頃、欠食児童だったので、庭に有った柿とかグミの渋みを
良く体験してました。
by hako (2010-07-06 22:07) 

yuka

凄くわかりやすかったです!!ためになりました!
私はお茶が好きなのでついついタンニンを許容してしまいます。
好きなんですね・・・・。
by yuka (2010-07-07 16:42) 

グランマ・ぴよ

青木 冨美子さま

白は そういう事で。
好きな訳が 納得致しました。
ワインも お深いお道で。 グランマ・ぴよ拝
          
by グランマ・ぴよ (2010-07-08 09:05) 

toki

私もまだ渋みがあるんでしょうね(笑)


by toki (2010-07-09 20:46) 

fumiko

gillmanさん
樽材を3年くらい野外に置き、風雨にさらさせる(シーズニング)
ことで、木材の中の渋味の“マイナス”要因は出て行ってしまいます。
ボウモアは熟成にシェリー樽やバーボン樽を使いますね。


hakoさん、ご理解いただき、嬉しいです。
味覚の感じ方も年齢とともに変わってくるので、小さい時に味わった
渋柿やグミの実などは、そうとう苦かったのでは。
by fumiko (2010-07-19 02:29) 

uge

しばらく飛び回っていたので過去トピへのコメントとなる不躾をお許しください。興味深く読ませていただきました。渋みに種類がある由。眼から鱗ですね。麻井先生の著書もその部分はなぜか記憶があります。含蓄あるお言葉です。
by uge (2010-08-07 10:05) 

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