日本が誇る“甲州ワイン”を世界に! 力強いサポーターは著名なジャンシス・ロビンソンMW [ワイン]
年初、NHKニュースでも放映されていたので、気付かれた方も多いのではないかと思います。
“甲州ワインを世界に”の動きが本格化してきました。
活動しているのはKoshu of Japan 、略してKOJ。2009年7月、山梨県酒造協同組合に属するワイナリーが甲州種をEUに輸出する目的で結成した団体で、構想から現在までの動きは下記のURLをご覧ください!!
>>>http://www.koshuofjapan.com/ja/
23日(昨日)、イギリスの著名な女性ワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソン OBE MWを講師にした『甲州ワインテイスティングセミナー』が行われました。
招聘したKOJの協力で、東京では(社)日本ソムリエ協会関東支部第1回分科会という形で実施されました。山梨県では一昨日の午前&午後の2回、セミナーを実施したとの話でした。
セミナー前半に、世界市場におけるワインの最新動向についての解説がありました。
動きを簡単に列記すると・・・白ワインブーム(シャルドネ)から赤ワインブーム(カベルネ)への変遷、アメリカのワイン評論家ロバート・パーカーJr &ワインスペクテイター誌によるワイン点数評価の影響、TV『60ミニッツ』によるフレンチ・パラドックス騒動から映画『サイドウェイ』のピノ・ノワール人気、堅実なロゼ・ワインブーム、リースリング・ルネッサンスを経て食事に合う白ワインに対する注目、ライトな食事志向&それに伴うライトなワイン人気、その土地に長く根付いたぶどう=固有品種ブーム、等と話が進み、セミナーのテーマである“甲州”にフォーカス。
15ワイナリーの中から、特徴がつかみやすい、という点から選ばれた5アイテムは左から順に、
#1:キュヴェ三澤 甲州 明野2009 by 中央葡萄酒(株)
ほとんど透明に近い色調、ピュアで丁寧な造りを感じさせるワイン。柑橘系果実からパッションフルーツやピーチの香り、綺麗な酸、舌先に皮からの微量なビター感(食事を引き立てる大事な要素)
#2:ソル ルケト2009 by (株)山梨ワイン
色調はきわめて淡く、第一香に軽い燻製香(きいろ香2006のリリース直後に感じた香りと同じ)、柑橘系果実のニュアンス、口中で果物風味の広がり
#3:イセハラ2009 by 勝沼醸造(株)
インパクトのある華やかな香り、ライチ、グレープフルーツ、ピーチ、酸味も豊かで、#1同様舌先に軽いビター感。ロビンソン女史「甲州を初めて飲む人向きのフレンドリーなワイン」
#4:ルバイヤート甲州2009 by 丸藤葡萄酒工業(株)
透明感のある若々しいワイン。若草のような香り、3HMの香り、綺麗な酸。バランス良し。ロビンソン女史いわく「#1から順に試飲しているうちに、グラス内の温度が若干上がってしまった印象、2009年ヴィンテージの特徴である切れ味のある酸が少し弱くなってしまったので、味わう時の温度には気をつけて」
#5:登美の丘 甲州種 樽醗酵サンプル2009 by サントリー登美の丘ワイナリー
色調は黄色(樽に由来)で、酸味あり。樽内での醗酵、樽醸造、フィルターがけは軽いという印象、長く続く上品な余韻。ロビンソン女史「樽醗酵がワインに旨味を与えています。甲州ワインを飲み慣れた方に薦められます」
テイスティングしたワインはどれもピュアで繊細、上品な味わいでした。
転載厳禁 (C)Jancis Robinson, Koshu of Japan Photo by Fumiko AOKI
今回のセミナーは肖像権の関係上、写真撮影は禁止。録音も禁止という状態で行われました。
上記の画像についてはジャンシス・ロビンソン女史&KOJの三澤理事長の許可を得て撮影したものです。“知的所有権”にかかわりますので、転載&コピーは厳禁です。
世界のトップワインジャナリストであるジャンシス・ロビンソンMW女史が来日した2000年4月、(社)日本ソムリエ協会主催でセミナーが行われました。(テーマはリースリングとピノ・ノワール)。当時同協会理事だった私は彼女から許可をいただき顔写真を撮らせていただきました。その画像は機関誌No54の表紙に! イラストだった表紙から人物像に変わった記念すべき第一号です。
昨日はその女史との久々の対面。とは言え、10年前の出来事なので、「私のことなど覚えているはずないよねぇ~」と思いつつ、セミナー終了後、ご挨拶に伺いました。その瞬間、「あなたとはお会いしていますね」のひと言が! これにはビックリ。尊敬するロビンソン女史が覚えていてくださったことに、ホント、大感激でした!!
貴重なセミナーではラストの質問もさせていただきました。
実はNYのソムリエたちによって大ブレイクした品種にオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー(略:GV)があります。同国が誇る固有品種で、立場的には甲州と同じです。そのGVがブレイクするキッカケ(仕掛け)を作った人が、誰あろうロビンソン女史なのです!
彼女は当時はまだマイナーな品種だったGVのポテンシャルをいち早く察知し、世界に名だたるブルゴーニュの銘醸ワインとGVとのブラインドテイスティングをロンドンで実施。結果、7対0という大差で圧勝したGVに世界中から注目が集まりました。
(詳細記事はFinancial Times Nov.16/ Nov.17 2002 )
そして、GVの長い名前を“グルービー”という可愛いネーミングにして、ブームを後押ししたのが先に書いたNYのソムリエさんたちでした。8年前の出来事です。余談ですが、サンフランシスコのワインショップにもGVはしっかり定着しています。
私は「GVの仕掛けをしたロビンソンさんなので、仮定の話になりますが、甲州ワインを仕掛けるとしたら、どのようなワインとブラインドさせ、どのようなことをなさいますか?」と質問してみました。
ほんの少しの間、考えてから、やさしい口調で、「面白い質問です。甲州ワインについては私も今は勉強中です。それほど多くの種類を飲んでいないということもあります。甲州ワインの性格を考えると、スイスのシャスラやロワールのミュスカデとの比較試飲も考えられますが、ただ、GVの時にように他のワインとブラインドテイスティングするというやり方ではなく、“料理と合わせて”比較試飲するほうが良いと思います」と答えてくれました。
納得です。世界的な和食ブームを追い風に、さらにライト&ヘルシー志向に流れている昨今の食事情を考えると、そのやり方なら“甲州ワイン”は十分戦えると思います。がんばれ、甲州ワインです!
奇しくも3月10日開催のカレッジ品種別講座では受講生からのリクエストで、“和食に合う白ワイン”をテーマにしています。昨日のセミナー直前、供出する7アイテムをすべて決め、発注したばかり。
昨日試飲した5アイテムの中に教材用に注文したワインと同じ1本があったこと。加えてロビンソン女史のお話に出てきた注目できる白ワインと授業に出す白ワインがうまく符合していたことなど、即、ワイン現場の実践につなげられるタイムリーな内容だったことも嬉しく思いました。
滅多にお目にかかれない尊敬すべき偉大なジャンシス・ロビンソン OBE MW&サポ―トくださったKOJの皆さま、貴重なお時間を、本当にありがとうございました!!
“甲州ワインを世界に”の動きが本格化してきました。
活動しているのはKoshu of Japan 、略してKOJ。2009年7月、山梨県酒造協同組合に属するワイナリーが甲州種をEUに輸出する目的で結成した団体で、構想から現在までの動きは下記のURLをご覧ください!!
>>>http://www.koshuofjapan.com/ja/
23日(昨日)、イギリスの著名な女性ワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソン OBE MWを講師にした『甲州ワインテイスティングセミナー』が行われました。
招聘したKOJの協力で、東京では(社)日本ソムリエ協会関東支部第1回分科会という形で実施されました。山梨県では一昨日の午前&午後の2回、セミナーを実施したとの話でした。
セミナー前半に、世界市場におけるワインの最新動向についての解説がありました。
動きを簡単に列記すると・・・白ワインブーム(シャルドネ)から赤ワインブーム(カベルネ)への変遷、アメリカのワイン評論家ロバート・パーカーJr &ワインスペクテイター誌によるワイン点数評価の影響、TV『60ミニッツ』によるフレンチ・パラドックス騒動から映画『サイドウェイ』のピノ・ノワール人気、堅実なロゼ・ワインブーム、リースリング・ルネッサンスを経て食事に合う白ワインに対する注目、ライトな食事志向&それに伴うライトなワイン人気、その土地に長く根付いたぶどう=固有品種ブーム、等と話が進み、セミナーのテーマである“甲州”にフォーカス。
15ワイナリーの中から、特徴がつかみやすい、という点から選ばれた5アイテムは左から順に、
#1:キュヴェ三澤 甲州 明野2009 by 中央葡萄酒(株)
ほとんど透明に近い色調、ピュアで丁寧な造りを感じさせるワイン。柑橘系果実からパッションフルーツやピーチの香り、綺麗な酸、舌先に皮からの微量なビター感(食事を引き立てる大事な要素)
#2:ソル ルケト2009 by (株)山梨ワイン
色調はきわめて淡く、第一香に軽い燻製香(きいろ香2006のリリース直後に感じた香りと同じ)、柑橘系果実のニュアンス、口中で果物風味の広がり
#3:イセハラ2009 by 勝沼醸造(株)
インパクトのある華やかな香り、ライチ、グレープフルーツ、ピーチ、酸味も豊かで、#1同様舌先に軽いビター感。ロビンソン女史「甲州を初めて飲む人向きのフレンドリーなワイン」
#4:ルバイヤート甲州2009 by 丸藤葡萄酒工業(株)
透明感のある若々しいワイン。若草のような香り、3HMの香り、綺麗な酸。バランス良し。ロビンソン女史いわく「#1から順に試飲しているうちに、グラス内の温度が若干上がってしまった印象、2009年ヴィンテージの特徴である切れ味のある酸が少し弱くなってしまったので、味わう時の温度には気をつけて」
#5:登美の丘 甲州種 樽醗酵サンプル2009 by サントリー登美の丘ワイナリー
色調は黄色(樽に由来)で、酸味あり。樽内での醗酵、樽醸造、フィルターがけは軽いという印象、長く続く上品な余韻。ロビンソン女史「樽醗酵がワインに旨味を与えています。甲州ワインを飲み慣れた方に薦められます」
テイスティングしたワインはどれもピュアで繊細、上品な味わいでした。
転載厳禁 (C)Jancis Robinson, Koshu of Japan Photo by Fumiko AOKI
今回のセミナーは肖像権の関係上、写真撮影は禁止。録音も禁止という状態で行われました。
上記の画像についてはジャンシス・ロビンソン女史&KOJの三澤理事長の許可を得て撮影したものです。“知的所有権”にかかわりますので、転載&コピーは厳禁です。
世界のトップワインジャナリストであるジャンシス・ロビンソンMW女史が来日した2000年4月、(社)日本ソムリエ協会主催でセミナーが行われました。(テーマはリースリングとピノ・ノワール)。当時同協会理事だった私は彼女から許可をいただき顔写真を撮らせていただきました。その画像は機関誌No54の表紙に! イラストだった表紙から人物像に変わった記念すべき第一号です。
昨日はその女史との久々の対面。とは言え、10年前の出来事なので、「私のことなど覚えているはずないよねぇ~」と思いつつ、セミナー終了後、ご挨拶に伺いました。その瞬間、「あなたとはお会いしていますね」のひと言が! これにはビックリ。尊敬するロビンソン女史が覚えていてくださったことに、ホント、大感激でした!!
貴重なセミナーではラストの質問もさせていただきました。
実はNYのソムリエたちによって大ブレイクした品種にオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー(略:GV)があります。同国が誇る固有品種で、立場的には甲州と同じです。そのGVがブレイクするキッカケ(仕掛け)を作った人が、誰あろうロビンソン女史なのです!
彼女は当時はまだマイナーな品種だったGVのポテンシャルをいち早く察知し、世界に名だたるブルゴーニュの銘醸ワインとGVとのブラインドテイスティングをロンドンで実施。結果、7対0という大差で圧勝したGVに世界中から注目が集まりました。
(詳細記事はFinancial Times Nov.16/ Nov.17 2002 )
そして、GVの長い名前を“グルービー”という可愛いネーミングにして、ブームを後押ししたのが先に書いたNYのソムリエさんたちでした。8年前の出来事です。余談ですが、サンフランシスコのワインショップにもGVはしっかり定着しています。
私は「GVの仕掛けをしたロビンソンさんなので、仮定の話になりますが、甲州ワインを仕掛けるとしたら、どのようなワインとブラインドさせ、どのようなことをなさいますか?」と質問してみました。
ほんの少しの間、考えてから、やさしい口調で、「面白い質問です。甲州ワインについては私も今は勉強中です。それほど多くの種類を飲んでいないということもあります。甲州ワインの性格を考えると、スイスのシャスラやロワールのミュスカデとの比較試飲も考えられますが、ただ、GVの時にように他のワインとブラインドテイスティングするというやり方ではなく、“料理と合わせて”比較試飲するほうが良いと思います」と答えてくれました。
納得です。世界的な和食ブームを追い風に、さらにライト&ヘルシー志向に流れている昨今の食事情を考えると、そのやり方なら“甲州ワイン”は十分戦えると思います。がんばれ、甲州ワインです!
奇しくも3月10日開催のカレッジ品種別講座では受講生からのリクエストで、“和食に合う白ワイン”をテーマにしています。昨日のセミナー直前、供出する7アイテムをすべて決め、発注したばかり。
昨日試飲した5アイテムの中に教材用に注文したワインと同じ1本があったこと。加えてロビンソン女史のお話に出てきた注目できる白ワインと授業に出す白ワインがうまく符合していたことなど、即、ワイン現場の実践につなげられるタイムリーな内容だったことも嬉しく思いました。
滅多にお目にかかれない尊敬すべき偉大なジャンシス・ロビンソン OBE MW&サポ―トくださったKOJの皆さま、貴重なお時間を、本当にありがとうございました!!
おはようございます。
いつも楽しみにしております。
また来訪させていただきます。
by Koji (2010-02-25 08:17)
koji様、いつもチェック、ありがとうございます。
また、初コメントもありがとうございました!
貴ブログの医療最新情報で、私も学習させていただいております。
by fumiko (2010-02-25 10:04)
憧れの MW ジャンシス・ロビンソン女史ですが、
幸運なことに、僕もこのセミナーに参加できました。
申し込みは一瞬で締め切られたようなのですが、
ラッキーでした。
食とワインのトレンドとして、これから甲州の時代が来る
ということをとてもよく理解ができて良かったです。
また先生のご質問は、とても的確で素晴らしかったです。
セミナー後も、親しげにお話しをされていましたね。
僕は、ファンとしてブログの記事を書いてしまいましたが、
(すみませんミーハーで(笑))
先生の記事を読み返し、KOJ および甲州の今後の発展を
ますます祈りたいと思います!
by YUTAKA (2010-02-25 14:38)
国産ワイン好きですが、KOJという動きは存じ上げませんでした。「キュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー」や「アルガブランカシリーズ」など、既に欧州進出を果たした銘柄もありますが、これからその動きは活発化しそうですね。
ジャンシス・ロビンソン女史のセミナーは貴重ですね~。GVに関するロンドン・テイスティングのお話は、オーストリア大使館から「和食&ワインを愉しむ」のパンフレットを頂いた際(先日またまたオーストリアワイン会をしましたもので。マルクス・フーバーのロゼ泡コストパフォーマンス高かったです^^)、それについての記事も一緒に頂いて読みました!欧州やニューヨークなどで、食事とあわせての甲州テイスティングイベントなんて開催されたら面白いことになりそうですね。
今回のテイスティングに供されたワインは、イセハラとルバイヤートしかためした事はありませんが、他のものもぜひ飲んでみたいものです。確かに、イセハラはとっつきやすさがありますよね。結構他の甲州とは違った香味だとも思いますが…。
私は、ダイヤモンド酒造さんの「最際」や四恩醸造さんの「ブーケ」、旭洋酒さんの「プティ・ボワゼ」等も好きです。プティ・ボワゼは、なんと数の子とも相性がよくて驚きでした。インパクトという点では、ココファームさん「FOS」もただならぬワインですね~^^;
by ぱんだしゅりけん (2010-02-26 00:14)
ぱんだしゅりけんさん
お気持ちのこもったコメント、ありがとうございます♪
ジャンシス・ロビンソンMWに質問した時、私は「和食にはオーストリアのGVと甲州が一番合うと思っていますが・・・」という言葉から始めさせていただきました。
ぱんだしゅりけんさんも、同意見なのでは・・・、いかがですか?
私は今後のKOJの活躍に、そして甲州ワインの更なる向上に期待を込めて、応援していきたいと思っています。
>プティ・ボワゼは、なんと数の子とも相性がよくて驚きでした
そうですか、数の子と! これは興味津々です。
hyukikokeyさん、チェックありがとうございました!
山梨在住の方なのですね。よろしくお願いします♪
winoさん、チェックありがとうございました。
YUTAKAさん
憧れのジャンシス・ロビンソンMWのセミナーに参加できて良かったですね。サインもしていただいたようなので、重い『The World Atlas of Wine 6th Edition』を持参した甲斐がありましたね。
by fumiko (2010-02-26 23:44)
KOJ、世界を相手に頑張って欲しいですね。
和食には、日本酒よりも合うと思います。
良い日本酒よりも安いですし。
和食に合う海外ワインより高いかもしれませんが。
いずれにしろ、KOJ構成会社を依怙贔屓するのは間違い有りません。
なお、KOJのブログも、写真入りでレポートして欲しいですね。
国内でも、もっと盛り上げたいです。
by hako (2010-02-28 21:59)
hakoさん、KOJが喜ぶコメントをありがとうございます!
確かに甲州ワインは和食に良く合います。
(唯一、困る食材が数の子。日本酒だけは合います)
和食が世界を席巻している今だからこそ、
勢いをつけて頑張って欲しいです。
by fumiko (2010-02-28 23:16)