【番外編】 渡辺先生が解くNon Solo Vinoの料理とワインの相性 [Non Solo Vino]
『Non Solo Vino』 の第１部、第２部で、一躍アイドルになってしまった渡辺正澄先生（農学博士）に、当日のマリアージュについて分析していただきましたので番外編としてアップしておきます。
ベースの資料は当日配布させていただきました「料理とワインの相性表」です。
ご参加くださった皆様方にとりまして、相性診断の良きヒントになれば幸いです。
渡辺先生との掛け合いは漫才コンビになった気分で（笑） photos by Shizuka
以下は渡辺先生からのコメントです。
先日のNon Solo Vino@松本楼の料理とロゼ・シャンパンの相性はパーフェクトでした。小生もかつて松本楼のワインスク－ルで小坂文乃様や調理の方々と数年間ほど相性研究をしましたが、それ以前から松本楼のフランス料理は美味しかったと記憶しています。
ロゼ・シャンパンというのは、他のワインよりも酸味が多く、程よいタンニン、ごくわずかな糖分、それにハツラツとしたきめ細かい炭酸ガスが特徴と言えます。当日のシャンパンの総酸は平均して約８～１０g/L あったと思います。この総酸の中には“乳酸”も含まれています。
料理の酸味とシャンパンの酸味が調和しているだけでなく、酸によって料理の油分が舌に絡むのを抑えて流してくれますし、その上、炭酸ガスが口中に残された料理をあっという間に混合してくれます。このミキシング・パワ－は、舌の上をスケ－ト競技のイナパウワ－のようにエレガントに滑って上品、優雅です。
黒鮑(あわび)やイベリコ豚は、「ワインと料理の相性表」では、中間系食材になります。
ほとんどのシャンパンには乳酸があります。これはマロラクティック醗酵（※）によるものです。マロラクティック醗酵は、原酒の時と二次発酵の時の二つの場合があります。原酒の時は、はじめからマロラクティックを起こすように優良乳酸菌（エノコッカス・エノス）を添加する場合もあり、また、二次発酵の時は、自然に混入してしまった乳酸菌によって発生する場合があります。
この乳酸は黒鮑に含まれる乳酸やコハク酸と相性が良く、また野放しにされているイベリコ豚は運動量が多く、ドングリ中の糖分の代謝で、脚部中に乳酸が多めに生成されると思われます。
さらに、オリ－ブの実と、同じ木の実であるドングリをイベリコ豚はたくさん食べていますので、豚の脚部油脂組成は、中間系食材のオリ－ブ油と成分的にかなり似ていると考えられます。
イベリコ豚にはオレイン酸やパルミチン酸などが多く含まれています。牛脂のように融点の高いステアリン酸は少ないと考えられますので、イベリコ豚の油脂は、相性表では“中間系”になるのです。
シャンパンの酸組成ですが、リンゴ酸、酒石酸（冷旨系）と温旨系の乳酸が含まれています。もし、シャンパンに炭酸ガス（冷旨系）が含まれていないとすれば、そのワインは、ブルゴーニュの高級白ワインのような中間系ワインになるところですが、シャンパンには多量の炭酸ガスがあるので、炭酸ガスの圧倒的なパワーでシャンパン内の乳酸はソフトに包み込まれ、冷旨系になってしまいます。
松本楼の料理の食材配合は、わかりませんが、食した感じでは中間系です。しかしこの中間系料理は、炭酸ガスの力で、料理を冷旨系シャンパン（相性表）にひっぱっています。これが見事なまでに、シャンパンと料理の相性を奏でていました。
・・・・少し難しい文章ですみません。要するに、中間系料理は、シャンパンの炭酸ガス効果で、口中で冷旨系に大変身してくれたわけです。泡の魔力です！おいしかったです！ありがとうございました。剣持先生の解説も大変よかったです。感謝します。また、小林史高氏のコメントもよかったです。
※マロラクティック発酵（MLF）：リンゴ酸が乳酸菌の働きで乳酸と二酸化炭素に変換される発酵
渡辺先生、眼帯を早くはずせると良いですね。くれぐれもお大事に！
素敵なアドヴァイス、ありがとうございました(fumiko)！！
ベースの資料は当日配布させていただきました「料理とワインの相性表」です。
ご参加くださった皆様方にとりまして、相性診断の良きヒントになれば幸いです。
渡辺先生との掛け合いは漫才コンビになった気分で（笑） photos by Shizuka
以下は渡辺先生からのコメントです。
先日のNon Solo Vino@松本楼の料理とロゼ・シャンパンの相性はパーフェクトでした。小生もかつて松本楼のワインスク－ルで小坂文乃様や調理の方々と数年間ほど相性研究をしましたが、それ以前から松本楼のフランス料理は美味しかったと記憶しています。
ロゼ・シャンパンというのは、他のワインよりも酸味が多く、程よいタンニン、ごくわずかな糖分、それにハツラツとしたきめ細かい炭酸ガスが特徴と言えます。当日のシャンパンの総酸は平均して約８～１０g/L あったと思います。この総酸の中には“乳酸”も含まれています。
料理の酸味とシャンパンの酸味が調和しているだけでなく、酸によって料理の油分が舌に絡むのを抑えて流してくれますし、その上、炭酸ガスが口中に残された料理をあっという間に混合してくれます。このミキシング・パワ－は、舌の上をスケ－ト競技のイナパウワ－のようにエレガントに滑って上品、優雅です。
黒鮑(あわび)やイベリコ豚は、「ワインと料理の相性表」では、中間系食材になります。
ほとんどのシャンパンには乳酸があります。これはマロラクティック醗酵（※）によるものです。マロラクティック醗酵は、原酒の時と二次発酵の時の二つの場合があります。原酒の時は、はじめからマロラクティックを起こすように優良乳酸菌（エノコッカス・エノス）を添加する場合もあり、また、二次発酵の時は、自然に混入してしまった乳酸菌によって発生する場合があります。
この乳酸は黒鮑に含まれる乳酸やコハク酸と相性が良く、また野放しにされているイベリコ豚は運動量が多く、ドングリ中の糖分の代謝で、脚部中に乳酸が多めに生成されると思われます。
さらに、オリ－ブの実と、同じ木の実であるドングリをイベリコ豚はたくさん食べていますので、豚の脚部油脂組成は、中間系食材のオリ－ブ油と成分的にかなり似ていると考えられます。
イベリコ豚にはオレイン酸やパルミチン酸などが多く含まれています。牛脂のように融点の高いステアリン酸は少ないと考えられますので、イベリコ豚の油脂は、相性表では“中間系”になるのです。
シャンパンの酸組成ですが、リンゴ酸、酒石酸（冷旨系）と温旨系の乳酸が含まれています。もし、シャンパンに炭酸ガス（冷旨系）が含まれていないとすれば、そのワインは、ブルゴーニュの高級白ワインのような中間系ワインになるところですが、シャンパンには多量の炭酸ガスがあるので、炭酸ガスの圧倒的なパワーでシャンパン内の乳酸はソフトに包み込まれ、冷旨系になってしまいます。
松本楼の料理の食材配合は、わかりませんが、食した感じでは中間系です。しかしこの中間系料理は、炭酸ガスの力で、料理を冷旨系シャンパン（相性表）にひっぱっています。これが見事なまでに、シャンパンと料理の相性を奏でていました。
・・・・少し難しい文章ですみません。要するに、中間系料理は、シャンパンの炭酸ガス効果で、口中で冷旨系に大変身してくれたわけです。泡の魔力です！おいしかったです！ありがとうございました。剣持先生の解説も大変よかったです。感謝します。また、小林史高氏のコメントもよかったです。
※マロラクティック発酵（MLF）：リンゴ酸が乳酸菌の働きで乳酸と二酸化炭素に変換される発酵
渡辺先生、眼帯を早くはずせると良いですね。くれぐれもお大事に！
素敵なアドヴァイス、ありがとうございました(fumiko)！！
2008-10-11 18:23
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あ～やっぱり予定変えてもらって、
行くべきだったなぁ～
次回は是非参加したいです！
by wino (2008-10-12 10:39)
冨美子先生☆
お忙しい中お見舞い＆コメントをありがとうございます<(_ _)>
とても嬉しく光栄です。
すべてが一流のNonSoloVinoへ参加させていただきありがたく思っています。
次の開催を楽しみに待っています♪
by タケダヒロコ (2008-10-12 18:51)
冨美子先生
渡辺先生のコメントさすがで、とても勉強になります。
また渡辺先生ですが、知識が豊富な方なのに、
人当たりがよくとてもユーモラスに満ちているので
会場で人気者だったのが印象的です。
早く眼帯が取れるといいですが・・・。
それにしても冨美子先生のお着物姿のお写真うっとりします。
私も着物が似合う女になりたいです。＾＾；
by AKI (2008-10-12 23:24)
winoさ～ん
Non Solo Vinoはその名の通り、“ワインだけじゃない”んです。
１粒で、２度でも３度でもおいしい、そんな会です。次回は是非。
よりグレードの高いものを目指して、半年or１年後計画で私も頑張ります！
タケダヒロコさま
遠路はるばるご足労いただき、本当に感謝です！
山梨、東京というスケジュールでお疲れも出たのですね。
渡辺先生の眼帯とヒロコさまのお熱が一刻も早く一掃できますように！
AKIさん、久々のコメント、ありがとうございました！
当日のアイドル渡辺先生から、「メガネはレンズが外れて使いものにならず、目の周りはパンダちゃんになり、肩の骨は、ひび割れにはなりませんでしたが、だんだんと快方に向かっています」とのメッセージをいただきました。まあ、先生はお若いから回復も早いでしょう（笑）
な～んて言うと、桐島先生の講和にあったように、「お尻の青い小娘にお若いですね、なんて言われたくない」と反論されたりして（笑）
色白美人のあきさんも着物は良く似合うと思いますよ。「習うより慣れよ」でGo！
by fumiko (2008-10-13 00:38)
お花の画像がひときわ奇麗なくらいふ様
チェックありがとうございました♪
by fumiko (2008-10-13 18:00)
素晴らしい分析ですね。こういう見方もあるのかと感動しました。
これこそ、このサイトでしか、読めない貴重な情報です。
料理は写真で見る限り、余りにも上品すぎて、早食いしたら
叱られそうです。
by hako (2008-10-14 22:06)
hakoさん、ありがとうございます♪
>これこそ、このサイトでしか、読めない貴重な情報です。
嬉しいお言葉、渡辺先生のサポートあってこその結果です。
最近、「ブログを見ていますよ」とお声をかけていただくことが、
特に多くなりました。
皆さまのご期待にお応えできるように努力します。
by fumiko (2008-10-15 01:32)