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セニエって何 [醸造家安蔵光弘さんへの質問箱]

シャンパンの3品種のひとつ、白ぶどうの“シャルドネ”

前回のBlogの続きで、“セニエ”について触れておきます。インタビュー形式で書いてみます。
安蔵:赤ワインを発酵させる時に、果皮の割合を多くして、濃いワインをつくるために、セニエ法で果汁を抜くという醸造法をとる場合があります。赤ワインを造るシャトーでは、この果汁を発酵させてロゼワインをつくります。メドックのシャトーで、ロゼのワインを出しているところがあるのは、このような理由によります。

青木:たとえばどこのシャトーですか?

安蔵:サンテミリオンにあるモンブスケでは「ロゼ・ド・モンブスケ」という名のロゼを出していますし、サンテステフのシャトー・カロン・セギュールでもロゼを造っていますよ。

安蔵: ロゼをつくる方法としては、(1)黒ブドウを発酵させて、ごく初期の色があまりつかないうちに引き抜く(半醸し法)。 (2)黒ブドウを破砕して、発酵させる前に果汁を引き抜き、薄いピンク色の果汁を発酵させる(セニエ法)があります。 酒質は(1)は少しタンニン分を含み若干赤ワインのニュアンスがあ り、(2)は淡いピンク色が付いていますが、白ワインに近いニュアンスです。

青木:セニエはフリーランジュース(一番搾り)のような感じですか?

安蔵:そうです。フランス語でフリーラン・ジュースは、“ジュ・ド・グット”と言います。ブルゴ-ニュのグット・ドール(黄金の雫) のグットと同じです。グットは“雫”という意味で、セニエのことをエグタージュ(「雫を取り除く」の意)とも呼びます。ブドウを潰したあと、破砕機やタンクに入れておくと、下から雫のように果汁が垂れてきます。清酒のしぼり方の「雫取り」と同じような感じです。醸しをしていないため(発酵前の果汁)、色はほんの少ししかついていません。前回のBlogにある“瀉血(しゃけつ)”で、血がぽたぽた垂れてくるイメージと、「ピンクの色合い」のイメージから、セニエという名前になったものです。

青木:なるほど。ローラン・ペリエのロゼ・シャンパンは雫のように垂れてくるジュースを発酵させて造るということですね。理解できました。ありがとうございました!


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YUTAKA

セニエについてこれほど詳しく書かれているのを見たことがないので(醸造学の教科書にはあるのかもしれませんが)、とても勉強になりました。よく理解できました。ありがとうございました。
オープンカレッジは「ぜいたくな講座」(他で体験できないことができる)だと思いますが、青木先生のblogは「ぜいたくなblog」だなと、つくづく思います。
by YUTAKA (2006-09-03 11:42) 

fumiko

あらら、冒頭からお褒めいただき、恐縮です(笑)。
日本のワイン界に安蔵ワインメーカーのような若手でパワーのある醸造家が増えています。私は迷うと安蔵さんにすぐにお尋ねしてしまうのですが、いつも丁寧に対応してくださいます。彼からの情報は貴重ですし、その貴重な情報を自分だけでかかえているのも・・・ね。今後も大いにフィードバックしていきたいと思っています。
セニエ法については講座で大いなる勘違いがありましたね、すみませ~ん。
by fumiko (2006-09-03 14:24) 

Dr.T

お蔭様で明快に解りました!
今まではワインの本を見てもセニエという言葉は出てくるのですが分離した果汁と残った果皮を含む部分がそれぞれどう最終製品になるのか解説に乏しいものがほとんどで漠然と想像するしかありませんでした。メーカー側も自然の恵みがワインになる・・・というイメージがあるためか積極的に説明しなかったのかもしれません。しかし自然の恵みにも年毎に波があり専門職人が技術と工夫で美味しいワインに仕立てる努力ももっと評価されて良い・・・というのが自身も専門職人である私の意見です(笑)。
ブログで補足までしていただき、この講座に通っている生徒はとても恵まれている確信が深まって来ました(笑)。
by Dr.T (2006-09-04 00:08) 

uge

セニエに関する補習までしていただき(笑)、ありがとうございました。今まであまりロゼに親しみがなかったのでm(_ _)m、製法についてほとんど知らなかったのですが、よ~く理解できました。
by uge (2006-09-04 22:57) 

Kyoko

セニエ法の意味がよーくわかりました。実は講義をお聞きしているときは酔っていたせいか、理解できずにいました。。。こんな私には補習が必要です。大変お勉強になりました。ありがとうございました。
by Kyoko (2006-09-05 11:59) 

fumiko

Dr.Tさん、ugeさん、kyokoさん、書き込みありがとうございます。
近年醸造の世界も大きく変化しています。1%でも理解度のズレがあっては皆さまに失礼だと思っています。セニエについては安蔵ワインメーカーの説明で大いに助かりました。
安蔵さま、皆さま、今後とも懲りずによろしくお願いしま~す。
by fumiko (2006-09-08 14:41) 

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