SSブログ

新世界ワインにおけるヴァーティカル・テイスティング [ワイン]

レストランなどで複数のワインを供する場合は <若いワインから古いワインへ>がお約束なのですが、昨今、プロの世界でヴァーティカル・テイスティング(同一ワインのヴィンテージ違いの試飲)をする場合、<古いワインから若いワインへ>という流れが見られます。
これは新世界ワイン(アメリカやオーストラリア等)のテイスティングにおける顕著な傾向です。

  
  左上から'89,'91,'94,左下順に'96,'98,'99,00 


   
  左から『ヒルサイド・セレクト』の01,'97,'94,'92

今年2月、取材で伺った南オーストラリア州バロッサヴァレーの『ピーター・レーマン』でスーパー・プレミアム・ワイン『ストーンウェル・シラーズ』のヴァーティカルをしました。上の画像にある7本と2007年7月リリース予定の02、2010年7月リリース予定の05(バレル・サンプル)でしたが、この時の試飲はオールド・ヴィンテージ'89から。チーフワインメーカーのアンドリュー・ウィガンさんは「熟成したタイプから見ていくほうがワインの変化やデリケートさが理解しやすい」と説明していました。
口中でのタンニンや果実香の感じ方などは、おっしゃる通りで、そのほうが “熟成” による変化がわかりやすいと感じました。>>>ストーンウェル・シラーズ

つい先日行なわれたヴィノラム主催のセミナーでも供された4種類のワインはやはりオールド・ヴィンテージから。これはナパの『シェーファー・ヴィンヤーズ』のダグ・シェーファー社長来日を記念するセミナーでの出来事です。 当日はシェーファー・ヴィンヤーズのフラッグシップワイン『カベルネ・ソーヴィニヨン・ヒルサイド・セレクト』の'92,'94,'97,01の4ヴィンテージを、シェーファー社長以下、『ベージュ東京』の渋谷康弘総支配人、ワインライターの柳忠之さん、ヴィノラムの野田宏子さんがパネリストとしてディスカッションしていきました。

古いワインから若いワインの順に飲むことについて 、ダグさんは「ナパのカベルネのようなタイプでは若いワインを最初に飲むと、強いタンニンや果実味が古いヴィンテージの優雅さや滑らかさを打ち消してしまいます。過去において、そのデリケートな繊細さ、熟成による複雑味を感じられなくなったことがあるので」とコメントしていました。 新世界ワインに多く見られる、高アルコールでパワーのあるタイプなら、そうなるのも無理からぬお話。最近のヴァーティカル・テイスティングにおけるちょっとした変化です。
>>>スタッグス・リープ・ディストリクトのカベルネ100%使用、32ケ月の樽熟成、瓶熟12ケ月のヒルサイド・セレクト


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 1

コメント 3

ワイナリー和泉屋

ふむ、ふむ、先生、とても勉強になりました。
by ワイナリー和泉屋 (2006-04-29 15:50) 

fumiko

ワイナリー和泉屋Haru様、久々のnice&コメント、ありがとうございま~す。
2005年3月にシャトー・アンジェリュス20周年記念の垂直をしましたが、その時は2004年(バレル・サンプル)から1984年、という順でした。旧世界はお約束のパターンが一般的だと思うのですが、先日のスペインはどうでしたか? 
多くのボデガで試飲をなさったようですが、“垂直”はあまりなかったですか?非常に興味のあるところです。 
by fumiko (2006-04-30 00:46) 

uge

目から鱗です。実は講座の中でも若いワインを先に飲むと、タンニンや酸が舌に残ってしまい、いくら水を含んでも感覚が元に戻らないと感じることがあります。これは赤の後に白を飲まないのと同じ原理なのでしょうか?
by uge (2006-05-02 01:51) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0